たばこ世界大手米フィリップモリス・インターナショナルは1月2日、英国の複数紙に全面広告を掲載し、「We're trying to give up cigarettes(私たちはたばこを放棄しようとしている)」とする年頭挨拶を行った。たばこ世界大手が自らの事業を否定する表明を行ったことが大きな衝撃を呼んでいる。
フィリップモリスは2017年9月、従来型のたばこから電子たばこ等スモークフリー商品にシフトする戦略を発表したが、今回の新聞広告では、禁煙促進にまで踏み込んだ。新聞広告のメッセージでは、英国には760万人の喫煙者がおり、ベストな解決策は「禁煙」だと言及。同社は、禁煙社会に向けた方針を表明しているが実現は容易ではないとしつつも、実行に移すことを決めたとした。また、禁煙に踏み切れない人に対しては、電子たばこ等にシフトすることが「Better」な選択肢だとした。
【参考】【アメリカ】フィリップモリス、2030年までに電子たばこ等売上比率を30%に引き上げ(2017年9月29日)
そのため、2018年に、禁煙とスモークフリー商品へのシフトを呼びかけるウェブサイトを設立。また、喫煙者が多い地域では政府当局の禁煙への取組を支援するとした。さらに、政府当局者に対し、たばこパッケージに禁煙とスモークフリー商品へのシフトを訴える表示ができるよう承認を求めていく。
同社はすでに同社の主力電子たばこ「IQOS」の開発等に25億ポンド(約3,800億円)を投資。今後も世界各国で新たな商品投入と販売促進を実施していく。2018年には英国で新商品投入することも表明した。
EUでは、たばこの健康被害を示す内容を商品パッケージに掲載することが義務付けられている。また、近年流行する電子たばこについては、最近、健康への安全性に疑問を呈する声も出てきている。今回のフィリップモリスの広告は、禁煙がベストな選択肢だと世論に促しつつ、一定の喫煙者の存在を前提としスモークフリー商品へのシフトを呼びかけたと言える。電子たばこ市場ではIQOSが圧倒的市場シェアを持っており、電子たばこへのシフトが進めば、同社のシェアがますます高まる。
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