韓国産業通商資源部は12月29日、電力政策審議会が2017年から2031年までの「第8次電力需給基本計画案」をほぼ同部がまとめた原案どおりで最終確定したと発表した。
韓国は電力需要の長期見通しにおいて、2030年の100.5GWでピークを迎えると分析。前回の2015年時に策定した「第7次電力需給基本計画」では、2030年の設備容量は113.2GWと見通したが、経済成長の鈍化を織り込み、100.5GWまで11%引き下げた。
現在の韓国の発電設備容量は、石炭火力45.4%、原子力30.3%、天然ガス火力16.9%、再生可能エネルギー6.2%。再生可能エネルギーのうち大半は大型水力発電(揚水発電含む)。韓国は2030年まで電力需要が毎年約2.1%増加するため、2029年までに3,456MWの電源が新たに必要となる。新規設備量量では、86.8%を原子力、残りの多くを風力と太陽光とする計画を立てた。それにより2030年の電源構成比は、石炭火力36.1%(9.3%減)、原子力23.9%(6.4%減)、天然ガス火力18.8%(1.8%増)、再生可能エネルギー20.2%(14.0%増)となる。
原子力発電所を増設するにもかかわらず、原子力発電の割合が大きく減少するのは、既存原発の廃炉を計画しているためだ。現在、韓国には原発が25基ある。そのうち古里1号は2017年6月19日に停止し稼働中は24基。文在寅大統領は脱原発の方針を掲げており、原発の運転期間を40年に限定したため、稼働後40年を経過する11基は2031年までに停止することが決まっている。また原発の新設でも、現在建設中の原発が5基(新古里4号機、新ハヌル1号機、2号機、新古里5号機、6号機)、建設計画中の原発が6基あるが、そのうち建設中の5基のみを許可し、それ以外の6基の建設計画を今回白紙に戻した。結果、現在24基(22.5GW)ある原発は、2030年に18基(20.4GW)に減少する。
気候変動や大気汚染の原因となる石炭火力発電を縮小する計画も決定。老朽化した石炭火力発電所10基を2022年までに閉鎖し、天然ガス火力発電所に転換する。これにより二酸化炭素排出量を26%、PM2.5等の排気物質量を62%削減する。
再生可能エネルギーは、現在の11.3GWから2030年には58.5GWに大幅に伸長する。新規設備容量のうち太陽光が63%、風力が34%を占める。新規再生可能エネルギー設備容量のうち、23.8GWは電力事業者の事業に対しRPS制度を導入し発電所建設を促す。残り19.9GWは、農家(10GW)、協同組合等小規模事業(7.5GW)、家庭(2.4GW)での敷設を進め、余剰電力を韓国電力公社が買い取るスキームを取る。
また、再生可能エネルギーを安定的に系統連系させる「総合管制システム」を2018年から試験導入する。
今回の計画は、産業通商資源部が1年をかけてまとめ12月14日に計画案が公表。その後、国会のエネルギー関連委員会の小委員会に提出され、公聴会を実施。そこでの意見をまとめ最終的に電力政策審議会で決定された。
【参照ページ】Ministry announces 8th Basic Plan for Electricity Supply and Demand
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