コンサルティング世界大手米マッキンゼー・アンド・カンパニー(マッキンゼー)は12月18日、グローバル企業のサステナビリティ戦略動向に関する調査報告書を公表した。調査は2017年5月16日から5月26日まで実施し世界2,711社から回答を得た。そのうち「サステナビリティ・プログラムを実施している」と回答し、全項目にも回答した2,422社について分析した。同調査は2012年、2014年にも実施されており、過去との比較も行った。
サステナビリティ・プログラムを実施する理由については、「企業理念やミッションと合致するため」が最多で46%(複数回答可)。次いで「レピュテーションの維持・向上」が32%、「消費者期待への対応」と「新たな成長機会の開発」が24%、「業務効率向上」と「規制対応」が22%だった。今回から新たに「投資家期待への対応」が項目に加えられたが、回答は12%だった。
各業界での最重要なサステナビリティ事項では、自動車業界は「製品・サービス設計」と「エネルギー効率」が高く、化学・医薬品は「エネルギー効率」と「廃棄物管理」が高かった。金融は「情報セキュリティ」「経済発展」「ダイバーシティとインクルージョン」が、ITは「情報セキュリティ」が高かった。人権や労働慣行については、いずれの業界でも最重要とする企業が少なかった。
企業がサステナビリティ分野へのコミットメントに関する変化では、「安全セキュリティ」「サステナビリティ関連技術の進化」に対するコミットメントが増加したとする企業が非常に多く、この結果から、昨今のサイバーセキュリティに関する関心や、サステナビリティを企業の競争優位性にしようとする動きが垣間見える。「世界的な気候変動交渉」へのコミットメントが増加したとする声が3番目に多かった。
サステナビリティで強化する技術分野では、「ステークホルダー・エンゲージメントのための情報プラットフォーム」と「省エネ設備」が53%と最多。次いで「ビッグデータや先進的分析」が3位。以下、「自動化設備」、「リサイクル技術」、「再生可能エネルギー」、「サステナビリティ効果測定・報告ソフトウェア」と続いた。
業界ごとのバリューチェーン注力分野では、電気・ガス業界の事業ポートフォリオ管理、小売業界のサプライチェーン上のインパクト管理、資源・エネルギー・化学業界の資源利用の向上が特に集中して高かった。
5年前の調査では、最も重要なサステナビリティ事項については、再生可能エネルギーと廃棄物管理がトップだった。今回はこれらは上位には出てこなかったが、背景には、グローバルトップ企業では、再生可能エネルギーや廃棄物管理への対応が一段落する一方、それ以外にも多くの課題が出てきたことがあると考えるのが妥当だろう。
【参照ページ】Sustainability’s Deepening Imprint
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