保険世界大手スイス再保険は12月20日、同社の機関誌「シグマ」で毎年公表する「シグマ調査」の概算によると、2017年の自然災害および人災による経済損失総額は3,060億米ドル(約35兆円)となり、昨年の1,880億米ドルを大きく上回る見通しとなった。また、経済損失のうち保険業界によって補償された金額は1,360億米ドル(約15兆円)の見通し。1970年の調査以来3番目に大きい損失額で、過去10年の平均(580億米ドル)を大きく上回った。自然災害および人災による死者はおよそ11,000名。
保険補償損失額の内訳は、自然災害が1,310億米ドルと96%を占める。今年損失額が大きくなった主な要因は、昨年米国で猛威を奮った超大型ハリケーン「ハービー」「イルマ」「マリア」で、これらハリケーン3つの保険補償損失額だけで930億米ドル。また、これらによる洪水被害は保険でカバーされていないものも多く、経済的損害はその額を大きく上回る。
もう一つの要因は、同じく米国で発生したカリフォルニア州の山林火災。米プロパティー・クレーム・サービシズ発表の統計を用いた概算では73億米ドルの保険補償損失があった。山林火災はまだ鎮火しておらず、年間の損失額は拡大が予想される。その他、米国では今年、異常気象による経済損失が膨らんだ。
米国以外では、メキシコでのハリケーン被害、欧州での猛暑と寒波、オーストラリアでのサイクロン被害、東南アジアでの大洪水、等もあり、世界的に異常気象が多く発生した1年だった。
【参照ページ】Preliminary sigma estimates for 2017: global insured losses of USD 136 billion are third highest on sigma records
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