ウォーターフットプリントとは、モノやサービスを消費する過程で使用された水の総量を図る概念です。また水消費量だけでなく、水消費地についても分析します。これらを考慮して、環境への影響削減や貴重な水資源の利用へと繋げることが期待されています。近似の概念には、二酸化炭素排出を対象とした「カーボンフットプリント」があります。
背景
ウォーターフットプリントの概念は、水文学で始まりました。2003年にUNESCO-IHEのHoekstra氏等水文学研究者がそれに相当するものを提唱。Hoekstra氏らは、Water Footprint Network(WFT)を設立し、算定手法の開発に向け研究を開始。後にSETRAC/UNEP、WBCSDなどの水に関する評価機関や経済界団体も検討を開始しました。2009年にはISOでウォーターフットプリントに関する規格が承認されました。
ウォーターフットプリントでは、環境負荷を削減するため、原材料の栽培・生産から製造、加工、輸送、消費、廃棄、リサイクルといった商品のライフサイクルを包括的に捉え、定量的な評価ができるよう開発されています。
ウォーターフットプリントの3つの種類
- グリーン・ウォーターフットプリント:土壌に貯められ、植物を通して蒸発するという降水・土壌水に関するもの。農業や園芸、森林材に関係します。
- ブルー・ウォーターフットプリント:商品の製造で使用されたり、人の体に入ったりする地上及び地下水(河川水)に関するもの。灌漑農業や産業、家庭での水利用に関係します。
- グレー・ウォーターフットプリント:家庭雑排水などの汚染された水を特定の水質に戻すために必要な水に関するもの。下水管を通って直接廃棄される排水や土壌で濾過されながら間接的に浄水される排水などと関係します。
ウォーターフットプリントでは、これらの3種類を考慮し、どの地点でどのような水が使用されているのかを把握していきます。
ウォーターフットプリントの算定手法
ウォーターフットプリント算定のための手法は、その目的に応じて選択する必要があります。環境省が2014年に発表した資料「ウォーターフットプリント算出事例集」によると、インベントリ型やWFN型、その他の評価手法が採用されています。
例えば、主要な算定手法の一つであるインベントリ分析は、特定の過程での水利用に関して水質や水量の変化といったインベントリデータを算出します。水質汚染物質の排出量や濃度などから水質変化が観察され、水源からの取水量や排出量などから水量の変化を分析します。さらに、利用場所、排出場所、利用期間、排出期間、空間特性等も考慮されます。
類似概念
類似の概念には「バーチャルウォーター」があります。こちらは、食料や畜産物を輸入する消費国が、自国内で生産したと仮定した時に必要だと考えられる水の量を推定するもの。そのためバーチャルウォーターは、ウォーターフットプリントを検討する際の一つの要素となります。
参考
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