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【中国】党と政府、国有地や生態系に対する生態環境損害賠償制度を2018年1月より全国導入

 中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は12月17日、新華社を通じて、「生態環境損害賠償制度改革計画」の内容を伝えた。同計画は、環境汚染者が賠償責任を負う規則を確立するもの。同計画は2018年1月1日より全国規模で導入される。

 中国では、一定の汚染者負担原則(PPP)は以前から導入されていたが、公有地に対する環境破壊についての賠償制度は明確にはされてこなかった。そのため、企業の環境汚染を政府が出費し対応するという状況が発生している。また昨今、直接的な環境被害だけでなく、生態系全体が持つ自然資本の価値が認識されるようになり、より広範囲に環境に対する賠償責任制度を確立する必要が出てきていた。

 中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は2015年12月3日、「生態環境損害賠償制度改革試行計画」を発し、重慶市、吉林省、山東省、江蘇省、湖南省、貴州省、雲南省の7省市で、生態環境損害賠償制度を試験導入。大気、地表水、地下水、土壌、森林等の環境構成要素と、植物、動物、微生物等の生物に及ぼした環境破壊を対象とし、(1)比較的規模の大きい突発的環境事故、(2)国や省級の当局が定める重点生態系地区や開発禁止区域で発生した環境汚染や生態系破壊、(3)環境に重大な影響を及ぼすその他の環境汚染や環境破壊について、賠償責任を汚染者に課した。汚染者は、原状回復に必要な費用を全て負担し、原状回復できない場合は、賠償金を政府に支払うことになった。

 今回の計画は、この生態環境損害賠償制度を全国に拡大するもの。対象となる環境分野や賠償責任が発生する要件については変更はない。しかし、2015年時の試験導入では省級政府のみが賠償要求をできたが、今回の計画では市級政府も同様に賠償要求ができるようになった。賠償請求で訴訟を起こす政府部局の指定は、基本的には各政府が自由に設定できるが、一般的には省政府や市政府の「環境保護部」が担うことになる見込み。また、複数の省を跨ぐ環境破壊については、関連の省政府が連携して賠償請求に当たることも定められた。

 2015年の試行計画では、賠償請求訴訟の前には汚染者と政府の間での協議を行うことを規定し、この規定は今回も踏襲された。そのため、汚染発生時には、まず汚染企業と政府の間で交渉を行い、合意できなかった場合に裁判で争うことになる。

 発表に当たっての記者会見では、責任者より「渤海湾での原油汚染、松花江での水汚染、常州外語学校での土壌汚染等、事件が多発する中、公共的な生態環境損害に対し賠償金額十分に得られるような状態になっていなかった。そのため生態環境は原状回復できる状況になっていなかった」と制度導入の背景を説明した。

 日本では現在、「誰の所有物でもない」環境への損害については、損害賠償制度が確立されていない。生態系等への環境賠償制度は、EUが2004年に定めた「環境損害の未然防止及び修復についての環境責任に関するEU指令(2004/35/EC)」が国際的な先進事例として知られている。

【参照ページ】改革生态环境损害赔偿制度 破解“企业污染、政府买单”困局 ——环保部有关负责人解读《生态环境损害赔偿制度改革方案》
【計画】生态环境损害赔偿制度改革方案

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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