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【中国】発改委、全国統一の二酸化炭素排出権取引制度設立。まず電力事業者1,700社が対象

 中国国務院国家発展改革委員会は12月19日、全国統一のキャップ・アンド・トレード型二酸化炭素排出権取引制度(ETS)設立を正式に表明した。これにより世界最大の二酸化炭素排出権取引市場が誕生する。第一段階は、中国の排出量の3分の1を占める石炭火力発電と天然ガス火力発電の電力事業者を対象とし、年間エネルギー消費量が二酸化炭素換算2.6万tを超える約1,700社が対象となる。合計の二酸化炭素排出量は30億t。中国は今後、製造業にも対象を拡大していく。

 中国政府は、2011年から2015年までの政策計画「第12次5カ年計画」の中で、主要地方都市レベルで実験的な二酸化炭素排出権取引市場を設立すると表明した。それを受け、国家発展改革委員会は、2011年10月末、北京市、天津市、上海市、重慶市、深圳市、湖北省、広東省の7つの省市で排出権取引モデル事業を許可。深圳ETSが2013年6月に最初に運営を開始し、11月に上海市と北京市、12月に広東省と天津市、2014年4月に湖北省、同6月に重慶市がモデル事業を開始した。対象となった7省・市は、中国の人口の19%、GDP33%、二酸化炭素排出量16%を占める。

 モデル事業では、7省・市が独自に二酸化炭素排出権を割当、二酸化炭素排出権取引を義務化する対象企業を選定した。パイロット事業の対象となった企業は約2,000社だが、深圳ETSが約800社を対象刷る一方、天津ETSは約100のみと大きな差があった。二酸化炭素排出量の割当量総計は約12億tで域内の排出量のカバー率は約50%。3年間の排出量取引総量は、2016年9月時点で約8,000万t。取引総額は19.1億元(約330億円)だった。

 このモデル事業の成功を受け、国家発展改革委員会は2016年2月、全国規模の二酸化炭素排出権取引市場を2017年にもスタートさせる考えを表明。だが、その後、対象企業の選定基準で難航し、2017年中には立ち上がらないかもしれないとの観測も出ていた。中央政府は対象企業基準として、年間エネルギー消費量が二酸化炭素換算2.6万t以上の事業者に決定。直轄市・省・自治区政府に対象候補企業リストの提出を指示したが、中央政府直轄企業提出分と合わせても約4,000社に留まった。そのため2016年5月に対象業種に化学と鉄鋼のサブセクターも追加し、最終的には7,000から8,000社に落ち着くという見通しが立っていた。

【参考】【中国】政府、2017年までに全国的な二酸化炭素排出権取引市場を開始する考え(2017年3月16日)

 しかし、今回の発表では、第一弾として電力事業者のみに対象を絞ることが明確にされた。背景には、対象企業選定に難航することで制度全体の立ち上げを遅らせるより、対策が急がれる電力事業者のみで先行発進させ、2017年中の制度発足を宣言した政府コミットメントの順守を優先させたと考えることができる。今回対象となった電力事業者約1,700社の二酸化炭素排出量合計は30億t。現在世界最大のEUの排出権取引制度(EU-ETS)の対象二酸化炭素排出量合計は14億tで、中国のETSはこれを上回り世界最大となる。

 対象となる各電力事業者の排出権基準と実際の割当は、今後、国家発展改革委員会が決定する。対象企業は、毎年、該当の省や市政府に対し、二酸化炭素排出量を報告し、余剰分は市場で売却できる。不足がある企業は市場で不足分を購入しなければならない。また、排出量実績を削減できる「クレジット制度」として「中国認証排出削減量(CCER)」制度も確立する。

 全国統一の排出権取引制度が開始する日はまだ未定。今回発表された計画の中では、3段階で制度を強化していく方針を示した。まず約1年を「基盤設立期間」、次の約1年を「モデル運用期間」、その後を「深化完成期間」とした。

【参照ページ】全国碳排放交易体系启动
【計画】全国碳排放权交易市场建设方案(发电行业)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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