米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ・ニューヨーク知事は12月19日、2018年の施政方針演説(State of the State)を行い、ニューヨーク州退職年金基金(New York State Common Retirement Fund)に対し、化石燃料への新規投資を停止するよう求める方針を示した。今後、同年金基金のトップを務めるトーマス・ディナポリ同州財務長官とともに諮問委員会設立を進め、ポートファリオの低炭素化に向けた議論を開始していく。同知事は民主党所属。
同年金基金の運用資産総額は約2,000億米ドル(約23兆円)。同年金基金はESG投資や長期投資を重視しているが、化石燃料関連企業への投資は継続してきた。2017年時点で、投資ポートフォリオには、石油・ガス世界大手50社が含まれており、エクソンモービルへの投資額だけで10億米ドルに上る。ニューヨーク州知事には、ニューヨーク州退職年金基金に関する決定権限はなく、ニューヨーク州財務長官がトップを務める。しかし、同州知事は、ニューヨーク州民の年金基金が化石燃料企業に投資を続けることでリスクが高まっているとし、今回の方針発表につながった。
今回の方針の内容は主に2つ。まず、化石燃料関連企業に対する新規投資を停止すること。そして、ディナポリ州財務長官と連携し、同年金基金の投資ポートフォリオを低炭素化するためのロードマップを策定するため、金融、経済、科学、ビジネス、労働者の各代表を招き、諮問委員会を設置すること。
この方針発表を受け、ディナポリ州財務長官は同日、声明を発表。すでに同じ業界の中で二酸化炭素排出量が相対的に少ない企業での投資運用を行う低炭素インデックスに基づく運用を20億米ドル規模で実施していることを強調。2018年もそれを継続すると表明した。その上で、化石燃料企業から直ちにダイベストメントする計画は今のところないものの、クオモ州知事とともに諮問委員会を設置することを歓迎した。
【参照ページ】Governor Cuomo Unveils 9th Proposal of 2018 State of the State: Calling on the NYS Common Fund to Cease All New Investments in Entities with Significant Fossil Fuel-Related Activities and Develop a De-Carbonization Plan for Divesting from Fossil Fuel
【参照ページ】DiNapoli Statement on the Governor’s 9th Proposal for the 2018 State of the State
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