エネルギー世界大手蘭ロイヤル・ダッチ・シェルのベン・バン・ブールデンCEOは11月28日、投資家向け発表会の中で、販売エネルギーのカーボンフットプリントを縮小し、再生可能エネルギーに大規模投資するコミットメントを宣言した。同社は、今年5月23日の株主総会で、株主である英国国教会や一部欧州年金基金から、二酸化炭素排出量削減の年間目標設定を求める株主提案が出たが、同社の経営陣の抵抗に合い、否決されていた。今回のコミットメントは、株主総会以後も高まる投資家から気候変動対応プレッシャーに応じ、二酸化炭素排出量排出量削減目標を宣言することとなった。
まず、販売エネルギーのカーボンフットプリントを、2035年までに20%し、2050年までに50%削減する。この内容は、今年の株主総会で提案された二酸化炭素排出量削減目標とほぼ同様の内容。ブールデンCEOは、今回の決定について、「株主提案の精神に対応するもの」としたが、「(二酸化炭素排出量の算出)では、株主提案が求めていた『負の副作用』までは考慮しない」とした。化石燃料の中でも二酸化炭素排出量の少ない天然ガスへ販売をシフトすることにより、同社はこの目標を達成するとみられている。
また、風力発電、太陽光発電、水力発電、電気自動車(EV)充電ステーションの分野に、2018年から2020年までの3年間で10億米ドル(約1,100億円)から20億米ドル(約2,200億円)投資する。同社はすでに2020年までに同分野に10億米ドル投資すると発表していたが、これを最高で2倍に拡大する。
ロイヤル・ダッチ・シェルが気候変動対応へのコミットメントを強化したことを、株主提案を行った株主等は歓迎をしているが、依然対応が不十分だとする声も多い。同社の設備投資額は、年間で250米ドル(約2.8兆円)から300米ドル(約3.4兆円)のため、今回発表した再生可能エネルギー分野への投資額20億ポンドは少なく映る。それに比べ、深海でのオイル・ガス掘削への投資額は年間50億米ドルから60億米ドル。シェールガスやシェールオイル採掘への投資額は20億米ドルから30億米ドル。
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