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【国際】北極圏の海氷域面積、縮小速度が過去二千年間で最大。今世紀中には夏に氷ゼロを迎える可能性

 米海洋大気庁(NOAA)は12月12日、2017年版の北極レポート(Arctic Report Card)を発表した。古気候学に基づく調査によると、北極圏の海氷域面積は少なくとも過去1500年で最大の速度で縮小していることが明らかとなった。

 調査チームは、過去約1500年の海氷域面積の変化を知るため、堆積物、氷床コア、木の年輪、貝の化石などの気候プロキシ・データを分析。それによると、過去1450年の間に海氷域面積は幾度も拡大と縮小を繰り返した歴史があるものの、現在の縮小ペースは過去に類を見ないものとなっている。またその縮小ペースは自然がもたらす影響だけでは説明できず、明らかに人間の活動が影響を及ぼしているという。

 海氷域面積が最も小さくなるのは夏で、通常は大気循環、海水温や北極海に流れ込む暖水の影響による。1900年以降、フラム海峡から北極海に流れ込む海水温は2℃上昇している。一方、現在観測されている海水表面気温の上昇は少なくとも過去2000年には起こらなかったことも明らかとなった。

 もちろん、海氷の歴史は2000年よりはるかに長い。初めて海氷が形成されたのは4700万年前。多年氷が北極で誕生したのが1400万から1800万年前と言われている。多年氷は過去35万年に渡り継続的に北極圏中央部に存在しており、その地域的な分布を理解することは今後北極圏の海氷がどのように変化していくのか分析するのに役立つという。

 海氷域面積は海水温や大気中の二酸化炭素濃度、氷河期サイクルに影響を受け、拡大と縮小を繰り返し、研究では過去35万年前から5000年前までの間には海氷域が無くなった期間が存在したことも分かっている。そのような海氷域ゼロ期間は、主に地軸と自転のブレにより地球が受ける太陽光エネルギーに変化が生じたからと推定されるが、完新世後半(約5000年前)からは現在観測される海氷が継続して存在している。しかし、今後、夏には海氷域がゼロとなる時を迎えると主張する研究者もおり、早くて2030年、少なくとも今世紀のどこかでそのような事態が起こる可能性があるという。

 NOAAは前オバマ政権時代には気候変動への警鐘を鳴らす役割を果たしていた。現トランプ政権では、予算削減もされたが、警鐘を鳴らす役割を続けているようだ。

【参考サイト】2017 Arctic Report Card: Sea ice melting unprecedented in at least 1,500 years

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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