英ケンブリッジ大学のサステナビリティ・リーダーシップ研究所(CISL)は12月12日、パリで開催された気候変動サミット(One Planet Summet)の場で、ブロックチェーン技術を用いたサプライチェーン管理の実証実験プロジェクトを行うと発表した。期間は1年。同プロジェクトには、世界金融大手英バークレイズ、英スタンダードチャータード、仏BNPパリバと、英小売セインズベリー、消費財世界大手英ユニリーバ、紙パルプ世界大手南アフリカSappiの6社が参加する他、ブロックチェーン技術を用いたシステム開発をスタートアップ企業4社が担当する。
企業がサプライチェーンのサステナビリティを強化する動きが出ている中、サプライチェーンのトレーサビリティや途中のデータ改竄リスクが大きな課題となっている。そのソリューションとして、データ改竄ができないブロックチェーン技術に大きな注目が集まっている。今年8月には、IBMが中心となったブロックチェーンを活用した食品サプライチェーン構築プロジェクトも発足。ウォルマート、ユニリーバ、ネスレ等が参加している。
ブロックチェーン技術を用いたサプライチェーン管理プラットフォームを開発したのはスタートアップ4社。ProvenanceとHalotradeの2社が、サプライチェーン情報を決済用に開発されたデータ体系に変換させる部分を開発した。一方Landmappはモバイル技術を活用し土地所有権をドキュメント化する部分を開発した。そしてFOCAFET Foundationはオープンソースデータの全体管理基準を開発した。ブロックチェーンではイーサリウムを用いた。
実証実験では、このプラットフォームを用いて、マラウィの茶農家1万人が生産された茶葉がユニリーバに供給され、さらにセインズベリーの店頭に並ぶまでのサプライチェーンをトラッキングする。同時に紅茶商品に用いられるSappi製の紙パッケージに関するデータも同時に管理する。実証実験では、技術面だけでなく、システムの経済合理性もチェックしていく。
一方、参加銀行は、ブロックチェーン技術を用いたサプライチェーンによりサステナビリティが担保された小規模農家に対し、高条件融資や信用付与を提供していく。これにより、農家は農業生産性を向上させるための投資が行えるようになる。
ケンブリッジ大学のCISLは、「Banking Environment Initiative(BEI)」がフィンテックを用いたサステナビリティ向上を図る「フィンテック・タスクフォース」を設立しており、今回の実証事件が具体的な第1号案件。実証実験には、参加企業と英国国際開発省(DFID)から合計60万ポンド(約8,000万円)が拠出された。
【参照ページ】Blue chips and startups launch new fintech pilot for more sustainable supply chains at the One Planet Summit
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