中国国務院環境保護部(環境省に相当)は12月4日、北京市、天津市及び周辺26都市「“2+26”都市」に対し、今冬に石炭火力発電を継続することを容認する緊急行政文書を関係の政府部局に発令した。それを受け、北京市城市管理委員会は12月7日、中国華能集団に対し緊急用の石炭火力発電の運転を再開するよう指示した。冬の厳しい中国北部では、ガス供給が追いつかず、暖房を使えない施設や家庭が増加していた。
中国環境保護部は今年、大気汚染が最も深刻な北京市、天津市、河北省で、石炭火力発電からガス火力発電へ転換させる命令を発令。同地域の電力を担う中国華能集団の石炭火力発電845MWも今年3月に運転停止を命じられた。さらに環境保護部は今年8月、大気中のPM2.5濃度を10月から来年3月にかけ前年同月比15%低下させるため、同地域の家庭300万世帯に対し石炭暖房をガス暖房または電気暖房に切り替えることも命じた。しかし、急増するガス需要に対し供給が追いつかずガス価格が急騰。また石炭火力発電からガス火力発電への転換も遅れており、家庭や学校では暖房が使えず、厳しい冬を暖房なしで過ごすことが余儀なくされていた。
今回の政府による石炭火力発電再開措置は、ガス需要を下げ、ガス価格の低下を狙ったもの。政府の関連当局とガス会社は共同でガス価格を監視する組織も設立。中国石油天然気集団(CNPC)等の政府系ガス会社に対してもガス供給を増加させることを命じた。
これに関連し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)も12月11日、北京地域ガス会社の北京燃気集団(Beijing Gas Group)に対し、2億5,000万米ドルの融資を決定した。使途はガスを輸送するパイプラインの建設。AIIBが実施する中国向けの融資は今回が初。
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