機関投資家大手225社は12月12日、気候変動対応を進めるため、グローバル大手企業に二酸化炭素排出削減を求めるイニシアチブへの参加を表明した。イニシアチブに参加した機関投資家の運用資産総額は26.3兆米ドル(約3,000兆円)。まず、二酸化炭素排出量の多い世界約100社をターゲットとし、225社全体での集団的エンゲージメントを開始する。ターゲット企業の社名もすでに公表されている。
同イニシアチブに参加した機関投資家は、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)、スウェーデン公的年金AP1、AP2、AP3、AP4、AP7、フランス預金供託金庫、フランス公務員退職年金基金(ERAFP)、フランス年金準備基金(FRR)、蘭PGGM、オランダ公務員年金(ABP)、デンマーク年金生活ファンド(PKA)、豪AustralianSuper、ブルネイ年金パートナーシップ、英国環境保護庁年金基金(EAPF)、英国大学退職年金基金(USS)、英国地方年金基金フォーラム(LAPFF)、ニューヨーク州年金基金、ニューヨーク市年金基金等の大手年金基金、仏アクサ、独アリアンツ、蘭エイゴン等の保険会社、HSBCグローバル・アセット・マネジメント、AVIVAインベスターズ、Mirova、アムンディ、ナティクシス・アセット・マネジメント、シュローダー、Robeco、RobecoSAM、ドイチェ・アセット・マネジメント、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント、M&Gインベストメント、ノルデア・アセット・マネジメント、ノーザン・トラスト・アセット・マネジメント、ピクテ・アセット・マネジメント、ピムコ、トリリウム・アセット・マネジメント、MN、BNPパリバ・アセットマネジメント、ボストン・コモン、マニュライフ・アセット・マネジメント等の運用会社大手。欧米の著名な機関投資家が勢揃いした。日本企業では、三井住友信託銀行とアセットマネジメントOne(*1)が参加。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は参加していない。
今回機関投資家が参加したイニシアチブは、今年9月に誕生した「Climate Action 100+」。同イニシアチブの創設機関は、国連責任投資原則(PRI)と、気候変動対応を企業に求める4つの世界機関投資家団体である欧州のIIGCC(Institutional Investors Group on Climate Change)、米国のINCR(Investor Network on Climate Risk)を運営するCeres、オーストラリア・ニュージランドのIGCC(Investors Group on Climate Change)、アジアのAIGCC(Asia Investor Group on Climate Change)の5団体。ステアリング・コミッティー(運営事務局)には、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、HSBCグローバル・アセット・マネジメント等も参加している。
企業への要求事項は主に3つ。まず、二酸化炭素排出量を削減し、パリ協定で国際合意に達した2℃目標へのコミットメント。次に、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)がまとめたガイドラインや、上記気候変動対応要求4団体で構成するGIC(Global Investor Coalition on Climate Change)が作成する各業種向けの気候変動情報開示ガイダンスに沿う情報開示。そして、気候変動に関する取締役会の説明責任と監視を確実に遂行するための強力なガバナンス体制の構築。
集団的エンゲージメントの対象となるのは、CDPのスコープ1と2の合計、さらにはスコープ3の観点で排出量が多い下記の企業(オレンジ色が日本企業)。対象企業は、ステアリング・コミッティーが最終的に選抜した。Climate Action 100+は、選定企業の中には、科学的根拠に基づく削減目標設定(SBT)、RE100、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく報告を表明している気候リーダー企業も入っていることを是認。それらも含め、集団定期エンゲージメントの結果を毎年公表し、次回の企業選定に反映させていくとした。同イニシアチブの目的に対し十分取り組んでいるみなされば企業は、リストから削除される。
- A.P.モラー・マースク
- エアバス
- アメリカン・エレクトリック・パワー
- アングロ・アメリカン
- 安徽海螺水泥(Anhui Conch Cement)
- アルセロール・ミタル
- BASF
- バイエル
- バークシャー・ハサウェイ
- BHPビリトン
- ボーイング
- BP
- Canadian Natural Resources
- キャタピラー
- Centrica
- シェブロン
- 中国石油化工(シノペック)
- 神華能源
- 中国海洋石油(CNOOC)
- コール・インディア
- コノコフィリップス
- カミンズ
- ダイキン
- デューク・エナジー
- E.ON
- エコペトロール
- EDF
- エネル
- エンジー
- Eni
- エクセロン
- エクソンモービル
- FCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)
- フォード・モーター
- 台湾プラスチック
- ガス・ナトゥラル・フェノーサ
- GE
- GM
- グレンコア
- 日立製作所
- 鴻海精密工業(フォックスコン)
- 本田技研工業
- Imperial Oil
- インガソール・ランド
- インターナショナル・ペーパー
- JXTGホールディングス
- フィリップス
- 韓国電力公社
- ラファージュホルシム
- ロッキード・マーティン
- ルクオイル
- ライオンデル・バセル
- マラソン石油
- マーティン・マリエッタ・マテリアルズ
- ノリリスク・ニッケル
- ネスレ
- 新日鐵住金
- 日産自動車
- NTPC
- ONGC
- OMV
- パッカー
- パナソニック
- ペプシコ
- 中国石油天然気(ペトロチャイナ)
- ペトロブラス
- Phillips 66
- ガスプロム
- ポスコ
- P&G
- PTT
- リライアンス・インダストリーズ
- レプソル
- リオ・ティント
- ロールスロイス
- ロスネフチ
- ロイヤル・ダッチ・シェル
- 上海汽車(SAIC)
- サソール
- シーメンス
- SKイノベーション
- Southern Copper Corporation
- スタトイル
- Suncor Energy
- スズキ
- Teck Resources
- テソロ石油
- ダウ・デュポン
- サザン
- ティッセンクルップ
- 東レ
- トタル
- トヨタ自動車
- ユナイテッド・テクノロジーズ
- ヴァーレ
- バレロ・エナジー
- ベダンタ・リソーシズ
- フォルクスワーゲン
- ボルボ
- ウェスファーマーズ
*1: 12月14日修正した。
【参照ページ】Global investors launch new initiative to drive action on climate change by world’s largest corporate greenhouse gas emitters
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら