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【国際】NASA研究者、北極や南極での融氷による都市洪水を予測するツール開発

 

 米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の科学者らは、11月15日付の「Science Advances」誌で、温暖化により北極や南極の氷河、氷床、氷冠が融解した際に、地球の回転と引力の影響により、どの都市に洪水などの大きな影響を及ぼすかを予測するツールを開発したと発表した。氷塊が大量の水となった場合、それが各都市にどのように「再分配」されるか、算定できる画期的なツールだという。

 北極や南極の氷が融けた場合、世界の海面水位が一律に押し上げられるわけではない。しかし、海面変動パターンは複雑で、従来氷が融けた地域とそれにより海面水位が上昇する地域との関係性については特定が難しかった。

 同プロジェクトの主任開発者であるエリック・ラロール博士は、世界の海面変動パターンには3つの重要なプロセスが影響すると説明している。1つ目と2つ目は重力。氷床は重く重力を生み出しており、海水を吸引している。しかし氷床が縮小することにより吸引力は減少し、海水は氷床から遠ざかっていく。2つ目は、氷床の重みで押し潰されていた地表は、氷床が縮小することで重みから解放され隆起する。3つ目は地球の自転。融解した水は自転により揺れ動きながら一定の方向へ広がっていく。

 以上のような要因をそれぞれコンピュータで算定し、「Gradient Fingerprint Mapping(GFM)」を構築。都市固有の予測ツールを開発した。ラロール博士によると、世界のすべての氷塊に対する特定の場所の海面について、正確な感度を算定することができるという。

 論文では、グリーンランドのペテアマン氷河、ヘルハイム氷河、北東グリーンランドの氷流、ヤコブスハブン氷河の融解による大量の水が、それぞれの集水流域から世界30都市に今後200年間にどの地域へ「再分配」されるかを例示している。

 東京はいずれの集水流域からも影響を受け、海面の上昇率は大きいと予測されている。ロンドンの海面上昇は、グリーンランド氷床の西側部分の変化によって大きく影響を受ける可能性があり、ニューヨークではグリーンランド氷床北東部の影響が大きい。またシドニーは南極沿岸の北北東と北北西の氷塊の影響が非常に大きいと見られる。研究者たちは、世界の主要293都市にGMFを適用させて、洪水対策に活用できるようにするという。

【論文】Should coastal planners have concern over where land ice is melting?
【ツール】slr-gfm

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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