英フェアトレード財団は11月23日、独占禁止法(競争法)違反の恐れが、企業が持続可能なサプライチェーン構築に向け競合企業と協働するアクションを阻害しているとするレポート「Through Business Collaboration – Exploring The Implications of Competition Law」を公表した。英政府と当局である競争・市場庁(CMA)に対し、安心して競合企業との連携を進めるためのガイドライン策定を要望した。
今回発表のレポートは、英国小売大手8社を含む大手企業が連携し、コスタリカ産パイナップル青果を仕入れる際に、25%以上の仕入れについて、生産農家に対する適正価格、労働差別撤廃、結社の自由の尊重、環境に有害な農薬や化学肥料の使用削減等の条件を課すとしたらというイニシアチブを仮定し、導入する場合の課題を分析する形で進められた。分析では、主に競争法違反と費用対効果がテーマとなり、幅広い関係者との円卓会議や、アンケートも実施された。分析では英シンクタンクNEF Consultingが支援した。
円卓会議では、法律の専門家等からは、仮定したイニシアチブは競争法違反に該当しないという見解が多数を占めた。根拠としては、競争法の目的は消費者保護にある一方、イニシアチブからは消費者は大きな便益が受けられる点を挙げた。しかし、それでも一部企業側からは競争法違反への懸念を抱くと声も出た。そのため、競争・市場庁(CMA)はガイドラインを策定し、明確に競争法違反とならない指針を示すことで、仮定のイニシアチブはより安心して導入できると提言している。さらに競争・市場庁(CMA)に対し、競争法は消費者の短期利益を志向しているが、長期利益も認識すべきだと要望した。
費用対効果分析でも、保守シナリオ、普通シナリオ、楽観シナリオの3つで分析がなされたが、いずれもイニシアチブ導入による費用は効果を上回るという結論となった。
【参照ページ】COMPETITION LAW FEARS DETER BUSINESSES WORKING TOGETHER TO PROMOTE SUSTAINABILITY IN SUPPLY CHAINS
【レポート】Building sustainable supply chains through business collaboration – exploring the implications of competition law
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら