米内務省魚類野生生物局は11月15日、アフリカ2ヶ国で狩猟された象牙の輸入を解禁すると発表。しかし11月17日、トランプ大統領がツイッター上で、自身が状況判断するまで解禁を保留にし調査は数年に渡るだろうと書き込み、解禁が撤回されるという事態となった。米国では前オバマ政権時代の2014年に象牙の持ち込みなどを禁止した。同局の発表では「アフリカ2ヶ国」の中身には言及されていないが、ジンバブエとザンビアと見られている。
米国には、種の保存法(Endangered Species Act)が存在し、象も絶滅危惧種として指定されているが、狩猟が種の保護に役立つという明確な証拠がある場合に限り、政府が輸入を許可できるとなっている。魚類野生生物局は、ジンバブエとザンビアでは、象の保護活動に成功し、輸入を解禁する十分な証拠が提出されたと判断した。同局の見解によれば、適切な管理下にある趣味の狩猟を許可することで、地元の人々に種を保全するインセンティブを与え、さらなる保護活動に資金を回せるという。しかし、この主張は大いに疑問に付されている。
解禁対象となる予定だったは、ジンバブエとザンビアで2016年1月21日から2018年12月31日に狩猟された象。一方で、アフリカゾウの頭数減少は深刻な問題となっている。アフリカ18か国で2007年から2014年にかけて生息数が約30%減少。最新の「Great Elephant Census」によれば、現在約35万頭が生息している。ジンバブエに限っては全体の減少は6%であるが、特にザンベジ川周辺の特定地域では減少幅が74%と著しい。
魚類野生生物局は、2014年に輸入を禁止して以来、ジンバブエ当局との対話を続けてきた。ジンバブエ側は密猟対策や、米国人狩猟家による経済的なインパクトを割り出す仕組みの構築に勤しみ、また狩猟頭数制限に関して米国政府に情報提供してきた。ジンバブエには約82,000頭の象が生息し、狩猟可能数は500頭を限る措置を採っているという。ジンバブエでは過去数回象の狩猟が禁止されてきたが、最近では、一定数の生息数の回復が見られたことを理由に、2015年にふたたび狩猟が解禁されている。
ザンビアでも、狩猟家は民間の狩猟場や特定エリアでのみの狩猟が許可される。これらのエリアは全て国立公園から十分に離れた場所にあるという。ザンビアも、ジンバブエ同様狩猟許可や頭数制限に取り組んできたとしており、2016年は、30頭の許可枠に対し12頭のオスの象しか殺されなかったとしている。
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