自動車世界大手独BMWグループ、独ダイムラー、米フォード、独フォルクスワーゲンの4社は11月3日、電気自動車(EV)充電ステーションインフラを整備するための合弁企業「IONITY」を設立したと発表した。4社が25%ずつ出資。フォルクスワーゲン傘下の独アウディ、独ポルシェも協力する。IONITYは、2020年までに欧州全域の主要道路400ヶ所に急速充電ステーションを設置。2017年中に20ヶ所の建設が開始される。
設置される急速充電ステーションの出力は最大350kW。従来の充電ステーションと比べると大幅に充電時間を短縮できる。今後投入される次世代EVでも活用できるよう充電システムの新規格「Combined Charging System(CCS)」を採用。CCSは、GM、フォード、クライスラー、BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェが、日本の自動車メーカーが推進する規格「CHAdeMO(チャデモ)」に対抗するため、2012年5月に共同で発表した規格。日本ではコンボとも呼ばれている。
今までのところコンボとチャデモの主導権争いは、チャデモが優勢。チャデモは日本7,000基、欧州4,000基、米国2,000基と世界に約15,500基が設置されている。一方のコンボは欧州を中心にまだ約5,000基。しかし、チャデモ方式が普通充電と急速充電で別々の充電口を持つのに対し、コンボは充電口を統合し、設置コストが安いことを売りに巻き返しを図っている。チャデモの現時点での最大出力は150kWとも言われており、コンボが350kWを実現すると、充電速度でコンボに軍配が上がることになる。現在、欧州のEV充電ステーションには、コンボとチャデモの双方の充電ノズルを備えており、これをコンボに一本化できれば設置コストが下げられるため、IONITYはコンボ導入で一気に形勢逆転を図る考えだ。
しかし、今後の規格争いは、今後EVの世界最大市場になることが確実な中国がどちらを左右するか次第といっても過言ではない。中国では現在、別規格の「GB/T」を用いている。コンボとチャデモの双方は、中国当局に激しい熱視線を送っている。
【参照ページ】BMW Group, Daimler AG, Ford Motor Company and the Volkswagen Group with Audi and Porsche form Joint Venture
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