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【国際】新興国の気候変動対応投資需要、2030年までに23兆米ドル。IFCレポート

 世界銀行グループの国際金融公社(IFC)は11月2日、気候変動分野の投資ニーズをまとめたレポート「Creating Markets for Climate Business
An IFC Climate Investment Opportunities Report」を公表。パリ協定の達成に向けた21主要新興国の気候変動対応投資需要は、2030年までに累計23兆米ドルと発表。投資の実現に向け、気候変動政策の改革を通して民間投資を促進すべきと伝えた。

 同レポートは、気候変動投資分野として、グリッド接続再生可能エネルギー、オフグリッド太陽光発電・蓄電、気候変動対応農業ビジネス、グリーンビルディング、都市交通、水、都市廃棄物処理の7分野を分析した。7分野全体の全体投資額は、今日すでに1兆米ドルに達している。しかし、これら7分野はパリ協定で加盟国が提登録したNDC(各国が自主的に決定する約束)の実現手法に盛り込まれており、今後さらに急拡大していく見込み。

  • グリッド接続再生可能エネルギー:2040年までに6兆米ドルの潜在的投資需要。うち半分はアジア・太平洋地域
  • オフグリッド太陽光発電・蓄電:年間投資需要は現在の25億米ドルから2025年には230億米ドルに拡大。サブサハラ・アフリカの需要が大きい。プリペイド方式「Pay-as-You-Go」モデルの電力事業者の投資需要は2016年時点で2.23億米ドル。
  • 気候変動対応農業ビジネス:2032年までに世界の食糧需要は20%増加。食糧生産量は70%増が必要。民間投資とともに、政府の土地所有権保証、交通インフラ整備、投資促進政策の導入等が必要。
  • グリーンビルディング:省エネルギービルディングの普及に2025年までに累積3兆4,000万米ドルの投資が必要。省エネ提案事業「ESCO事業」の市場は2015年時ですでに240億米ドル。
  • 都市交通:EV市場は1,630億米ドル。バス高速輸送システム(BRT)プロジェクトが150都市で展開中。都市交通インフラ投資は2025年までに年間9,000億米ドルに成長。2025年までにアジア・太平洋地域は累計8兆米ドルの投資需要。
  • 水:投資需要は2030年までに累計13兆米ドルに達する可能性がある。政府の予測可能な水料金設定、官民パートナーシップ、パフォーマンスに基づいた契約などが必要。
  • 都市廃棄物:市場規模は2020年までに2兆米ドル。過去2年間の投資需要は3,000億米ドル。2013年だけで廃棄物エネルギー転換施設800ヶ所で74億米ドルの投資。廃棄物回収・リサイクル市場は2,650億米ドル。各都市政府は、廃棄物課税の導入等が必要。

 

 地域別では、アジア・太平洋地域の気候変動対応技術への投資重要が旺盛。再生可能エネルギーに巨額の投資を続ける中国やインドが市場の牽引役となる。日本も、屋根への太陽光パネルの設置や小規模太陽光発電プロジェクトの投資額が世界2位と大きい。また、再生可能エネルギーに加え、アジア・太平洋地域はインフラ投資機会も2025年まで3兆米ドルと巨大。

 政府が絡む大規模プロジェクトには、様々な投資リスクがあるが、IFCは、民間投資を行うための手法として、PPP(官民パートナーシップ)、インパクト・ボンド等のパフォーマンス・ベースト契約(PBC)、公的資金、民間資金、慈善団体資金等を組み合わせるブレンド・ファイナンスの3つを推奨した。

【参照ページ】IFC Report Finds Policy Reforms, Innovation Can Unlock Trillions in Climate Finance

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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