日本経済団体連合会(経団連)は11月8日、IoTやAI、ロボット等革新技術を最大限活用し人々の暮らしや社会全体を最適化した未来社会「Society 5.0」の実現を柱として国連持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため、企業行動憲章を改定した。
「Society 5.0」とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、人類社会発展の歴史における5番目の新しい社会の意味で、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議で検討され、2016年1月に閣議決定された2016年度から5年間の科学技術政策の基本指針「第5期科学技術基本計画」の中で使われている用語。2016年に盛んに用いられたドイツの「インダストリー4.0」を超えることを含意している。経団連は今年2月14日、この国家ビジョンを支えるため「Society 5.0実現に向けた行動計画」を定めた。
「Society 5.0実現に向けた行動計画」は、「都市」「地方」「モノ・コト・サービス」「インフラ」「サイバー空間」を実施領域として定めた。国際的に関心の集まる気候変動やエネルギー問題については、IT化推進による省エネルギー推進を念頭に置いており、再生可能エネルギー推進や脱石炭等には触れていない。
- 都市:官民連携による都市活動全体のデジタル化・最適化
- 地方:地域未来の社会基盤づくり
- モノ・コト・サービス:全体最適化されたモノ・コト・サービス基盤の構築
- インフラ:インフラ・インフォマティクスによるパラダイムシフト
- サイバー空間:Society 5.0を深化させるサイバー空間の実現
経団連は、企業の社会的責任への取り組みを推進するために1991年に企業行動憲章を制定。経団連や会員企業にとっては「最高法規」と位置づけられている。改定するのは今回が5回目。2010年9月の第4回改定では、ISO26000に対応させた。今回5回目では、「ビジネスと人権に関する指導原則」「OECD多国籍企業行動指針」や、パリ協定、ESG投資等、世界的な新たな動きを認識し、経団連もSDGsをSociety 5.0に紐付けた。
改定では、憲章の副題が「社会の信頼と共感を得るために」から「持続可能な社会の実現のために」に変更。10条ある憲章文についても、「イノベーション」「責任ある調達」「ステークホルダーとの建設的な対話」「商品・サービスに関する適切な情報提供」「働き方の改革」「テロ、サイバー攻撃、自然災害への備え」「実効あるガバナンスを構築」「サプライチェーンにも本憲章の精神に基づく行動を促す」等の文言が盛り込まれた。人権については、従業員のみを対象にしていた内容から、「すべての人々」に拡大された。
改定後の企業行動憲章は、10条それぞれに小項目が定められており、項目数は49ある。改定と同時に公表された「実行の手引き(第7版)」には、各項毎に具体的なアクションプランの例も記載されている。
【参照ページ】企業行動憲章の改定にあたって
【企業行動憲章】企業行動憲章 実行の手引き(第7版)
【参照ページ】Society 5.0実現による日本再興
【参照ページ】科学技術基本計画
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら