気象分野の国連機関、世界気象機関(WMO)は10月30日、2016年の世界の二酸化炭素平均濃度が、過去最高の403.3ppmとなったと発表した。2015年比で3.3ppm増加し、増加幅としても過去最大となった。WMOは原因を人間活動とエルニーニョ減少の影響だとした。二酸化炭素濃度は、産業革命前の約278ppmから増加し続けており、現在は当時より45%濃度が濃くなっている。
パリ協定で国際合意に至った2℃目標を達成するためには、二酸化炭素濃度を450ppmに抑える必要があると言われている。2015年の時点で400pmを突破し、2016年は403.3ppmまで上がったことで、残りの余地はどんどん少なくなってきている。気候学者として著名なゴダード宇宙研究所前所長のジェームズ・ハンセン博士は、地球上の生命が本来の姿で維持するためには350ppmにまで減らすことを提言している。科学的に二酸化炭素濃度を1ppm下げるには、二酸化炭素を80億t減らさなければいけない。400ppmから450ppmまで残された量も、400ppmから350ppmまで減らす量としても、50ppm分、すなわち4,000億tという数値がカギとなる。一方、現在の世界の年間二酸化炭素排出量は約350億tで、この数値は年々増加している。
またWMOは11月6日、2017年の世界の平均気温が観測史上最も高い上位3年に入るとの予測を発表した。平均気温は2014年から2016年まで3年連続で過去最高を更新。今年は、エルニーニョ現象の影響が強かった昨年よりは多少低いが、それでも平均気温が高い状態が続く。WMOは、気候変動に伴い、海面水位の上昇だけでなく、台風や洪水、熱波や干魃の被害が大きくなると警戒感を強めている。
【参照ページ】Greenhouse gas concentrations surge to new record
【参照ページ】2017 is set to be in top three hottest years, with record-breaking extreme weather
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