イオンは10月27日、持続可能な水産物の普及に向けて取り組む機関である「世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)に参画したと発表した。アジアの小売業の参画はイオンが初。
GSSIは、政府、水産事業者、NGO、国際機関、専門家等が参加している水産資源分野の国際プラットフォーム。世界的に水産資源分野のサステナビリティ認証が乱立する中、あるべき認証スキームを確立するため、ドイツ政府の強い後押しを受け2013年に設立された。発足時は17の企業や機関が参画していたが、現在はイオンを含め42社・機関が参画している。他の参画企業には、英小売大手マークス&スペンサー、同セインズベリー、同モリソンズ、米食品大手ユーエスフーズ(US Foods)、米食品大手Pacific Seafood、タイ食品大手タイ・ユニオン、ロシア食品大手Norebo、日本の食品大手・日本水産等が参画している。また、国連食糧農業機関(FAO)、世界自然保護基金(WWF)、ドイツ国際協力公社(GIZ)等も協力している。本部はオランダ・ハールレム。
GSSIは、様々な機関が管理する水産資源認証を、国連食糧農業機関(FAO)の「水産物エコラベルのためのガイドライン」に準拠し認定しており、2017年3月14日、海洋管理協議会(MSC)のMSC認証が世界で第1号の認定を受けた。FAOの水産物エコラベルのためのガイドラインは、ガバナンス、管理運営、トレーサビリティ、審査についての国際的な業績評価指標が含まれている。FAOはこのガイドライン策定にあたり、世界貿易機関(WTO)や諸国の水産法規制、ISO等の国際基準等を参照した。
今回GSSIに参画したイオンは、2014年に「イオン水産物調達方針」を、2017年4月に「イオン持続可能な調達方針」を策定。2020年までにイオンの連結対象の総合スーパーとスーパーマーケットで、MSCとASCのCoC認証取得率100%にし、主要な全魚種で持続可能な裏付けのあるプライベートブランドを提供する「2020年目標」を定めた。MSCが天然水産資源分野の認証であるのに対し、ASCは養殖水産資源の認証で水産養殖管理協議会(ASC)が管理している。
イオンはこの他、農産物、畜産物、紙・パルプ・木材、パーム油でも同様に「2020年目標」を掲げている。対象となるのは全てプライベートブランド(PB)商品で、国際基準認証の取得率を100%にしていく。例えば、農産物では世界食品安全イニシアチブ(GFSI)の適正農業規範(GAP)管理を実施。畜産物では、GFSIの食品安全マネジメントシステム(FSMS)または適正農業規範(GAP)管理を目指す。紙・パルプ・木材では森林管理協議会(FSC)認証原料の利用を、パーム油ではRSPO等の認証取得原料の利用率100%を目指す。また、オーガニック農産物売上構成比率も5%にまで上げていく。
イオンの2020年目標の中で、紙・パルプ・木材とパーム油では認証取得原料の利用率を100%とするため、店頭に並ぶ該当商品は全て持続可能と認められたものとなる。一方、水産物、農産物、畜産物では、CoC認証や国際基準に合致する管理体制を強化し、認証取得商品を店頭で扱えるようにするというという内容。そのため、これら食品が全て持続可能となるわけではない。今後は、水産物、農産物、畜産物の認証取得商品の売上構成比に注目が集まっていく。
【参照ページ】アジアの小売業として初めてGSSIに参画
【機関サイト】GSSI
【参照ページ】MSCがGSSIに認定
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