欧州委員会は10月10日、農薬による健康・環境への悪影響を軽減するためにEU加盟国が講じるべき措置の進捗状況をまとめた報告書を発表した。同報告書は、農薬の空中散布、一般市民への情報開示、専門家への指導等幅広いテーマでEU加盟国の状況を評価。現行の農薬の持続可能な使用に関するEU指令の執行が不十分だと結論づけた。
現行のEU指令は、農薬の空中散布については、一部例外的な使用を除き、全EU加盟国で禁止されており、公共の公園やスポーツ施設、病院や学校等でも殺虫剤の使用は禁止もしくは必要最低限の使用のみが認められている。専門家に対するトレーニングや認可制度は全EU加盟国で整備されており、現時点で農業従事者400万人が殺虫剤の安全な使用に関するトレーニングを受けてきた。また噴射型殺虫剤90万点の安全噴射検査も実施されている。
一方、2009年以降、EUは低リスク・無化学殺虫剤の認可を進め認可種は倍増しているものの、各EU加盟国で実施されるはずの総合的病害虫管理(IPM)が未徹底であると指摘。とりわけ農家レベルでのコンプライアンスはチェックされていないとした。また、各EU加盟国の国家行動計画(NAPs)で測定可能な目標設定がされていない状況では、水系環境や特定保護区のアセスメントが十分に行えないと課題感を示した。
EUは今後の措置として、国家行動計画(NAPs)の次回改定時には、測定可能な目標や殺虫剤使用によるリスクとインパクトを提言するための長期戦略を定めるべきと指摘。欧州委員会は引き続き、各加盟国のEU指令の達成状況をモニタリングしていくと報告した。
【参照ページ】EU countries should use pesticides more sustainably
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