英教育省のソーシャル・モビリティ委員会は10月23日、英インターネットマーケティング調査会社YouGovを通じて実施した無給インターンシップに関する世論調査の結果を公表した。回答した英国民約5,000人のうち、72%が4週間以上の無給インターンシップを禁止する法改正案に賛成した。42%は「強く賛成する」と答えた。また、80%が、インターンシップやその他求職情報を非公式ではなく、構造化された手法で公開すべきだと回答した。
ソーシャル・モビリティ委員会は、英政府特有の行政機関であるNDPB(政府外公共機関)の一つ。NDPBには、執行型、助言型、法定型、独立監視ボードの4種類分類されるが、ソーシャル・モビリティ委員会は助言型に属し、行政機関から独立し専門的助言を直接大臣に対して行っている。世論調査は、今年3月にオンライン調査を行い、18歳以上の英国民4,723名が回答。性別、年齢、政治的信念、宗教、教育レベル、2015年総選挙投票、2016年EU離脱国民投票の内容で偏りが出ないように調査設計された。
英貴族院では、現在、無料インターンシップの法的扱いを定めるための議員提出法案が審議されており、10月27日から第二読解がスタート。ソーシャル・モビリティ委員会の世論調査結果は、そのタイミングに合わせて公表された。英国では、インターンは法的には「労働者」と定義され、1998年全国最低賃金法が定める最低賃金を受け取る権利がある。しかし、同法には曖昧な部分が多く、企業が無料インターンシップを募集する慣行が一般化している。インターンシップは、キャリア形成の上で重要な経験となるが、金銭的余裕のない低所得者層にとっては無給であればインターンシップを活用しづらいという現状もある。そのため、低所得者層はキャリア形成上で不利な立場に立たされていると認識されている。そのため、同法案は、全国最低賃金法を改正し、4週間をk超える無給就労を禁止することを掲げている。
英国では、近年、無給インターンシップの禁止を求める声が相次いでいた。ソーシャル・モビリティ超党派グループは、4週間以上の無給インターンシップがソーシャル・モビリティを阻害していると有給化を要請。シンクタンクInstitute for Public Policy Researchも、年間7万人が無給のため員端子ップを活用できないでいるという調査結果をまとめ問題提起を行った。労働者関連の業界団体も同様に4週間以上の無給インターンシップ禁止に賛同している。
【参照ページ】Unpaid internships are damaging to social mobility
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