欧州エネルギー取引所(EEX)と北京環境取引所(CBEEX)は10月23日、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。両社は中国の二酸化炭素排出権取引制度発展で協力する。
EEXはドイツ・ライプチヒに本社を置く電力先物取引所。ライプチヒエネルギー取引所とフランクフルトに本社を置く旧EEXが合併し誕生。2011年にドイツ取引所グループがEEX株式の約4分の3を買収し同社の傘下に入った。EEXは、EUの二酸化炭素排出権取引制度(EU-ETS)の主要取引所の一つでもあり、排出権はEEXの主力商品。排出権先物商品も売買されている。EU-ETS取引価格の参照価格インデックス「European Carbon Index(ECarbix)」も発表している。
一方、北京環境取引所は、二酸化炭素排出権取引市場として2008年に設立。2013年から排出権売買を開始した。中国では北京市の他、天津市、上海市、重慶市、深圳市、湖北省、広東省の5市2省が、中央政府の許可の下で排出権取引市場実証実験を2013年から2015年まで実施。7取引所の取引総量は8,000万tを超え、排出権価格も1t当たり平均30元(約500円)で推移。大半の企業が削減義務を達成した模様。これを受け、国家発展改革委員会は2016年4月、2017年中に全国統一の排出権取引市場制度(ETS)を開始すると表明。第一段として、化学、建材、鉄鋼、非鉄金属、製紙、電力、航空等重点業種の大企業に対し排出権取引義務化を行う意向を発表した。また、国家発展改革委員会は、全国統一取引市場の開始時点では、参加対象企業は約1万社、排出権割当枠は30億から40億tと予測した。
しかし、全国統一排出権取引制度(ETS)の立ち上がりは遅れており、は2017年中には立ち上がらないかもしれないとの観測も出ている。また、中央政府は対象企業の選定のため、直轄市・省・自治区政府に対象候補企業リストの提出を指示したが、中央政府直轄企業提出分と合わせても約4,000社に留まった。そのため2016年5月に対象業種に化学と鉄鋼のサブセクターも追加し、最終的には7,000から8,000社になる見込み。
今回の戦略的パートナーシップは、この世界最大の取引市場を国際的に機能させていくためのもの。両社は、グローバル企業が中国の全国統一排出権取引制度を活用しやすくなるようにしていく。
【参照ページ】EEX and CBEEX enter into strategic partnership for carbon market development in China
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