国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)は10月17日、英国現代奴隷法に基づく今年度の企業報告「奴隷と人身取引声明」の分析を実施し、株式インデックス「FTSE100」採用企業100社の状況をまとめたレポート「First Year of FTSE 100 Reports Under The UK Modern Slavery Act」を発表した。BHRRCは昨年はFTSE100のうち上位27社のみを分析対象としたが、今年は規模拡大し、FTSE100全社を対象とした。
BHRRCは、英国現代奴隷法に基づいた企業の情報開示や、リスク評価、従業員トレーニング、サプライチェーンの見直し等の行動内容について10段階で評価。10点が最高評価。最高得点はマークス&スペンサーの9点。ユニリーバ、セインズベリーが8点。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、テスコ、ボーダフォンが7点。これら高得点企業は、サプライチェーン上のリスクの洗い出し、既存の方針や調達方法の見直し、業界のベストプラクティスを取り入れる姿勢に優れていた。
一方、100社のうち43社が英国現代奴隷法の求める最低限の対応すらとっておらず、半数以上の企業が4点以下。最も評価が低かったのは、法令義務である「奴隷と人身取引声明」報告しなかったRangold Resourcesのゼロ点。次に、投資会社のHargreaves Lansdown、オンライン賭会社のPaddy Power、教材・出版ピアソン、銀行カード決済サービスのワールドペイは1点で、「奴隷と人身取引声明」報告はなされたが、英国現代奴隷法が推奨する6項目の開示ができていなかった。
BHRRCは、今回の分析について、多くの企業で対応が不十分と総括。2016年には英国現代奴隷法に基づいて起訴された案件は51件もあり、2015年の12件から4倍以上に増えた。2017年にも、小売大手Sports Directは、人身取引でポーランドから来た労働者を同社の倉庫で働かせたことで2人に懲役6年の判決が出、大きな批判を浴びた。Sports Directは、不適切な労働環境に関するスキャンダルを受けて前年にFTSE100リストから外された1年後の出来事だった。
【参照ページ】Press release: FTSE 100 failing to lead on eliminating modern slavery from supply chains ?
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