英環境・食糧・農村地域省は10月6日、国内での象牙取引を全面禁止するルールの制定を目指し、12週間のパブリックコメント募集を行うと発表した。英国では現在、象牙そのものの取引はすでに禁止されており、象牙商品の取引も1947年3月3日以降に加工されたものは政府の証明が必要となっている。しかし、今回の法律では一部例外を除き、象牙商品の取引を全面禁止する内容となっている。
世界のゾウの数は過去10年で3分の2まで減少しており、年間およそ2万頭が殺されている。アフリカゾウは1989年に絶滅危惧種の国際取引を規制するワシントン条約に登録され、それ以降国際的な輸出入が原則禁止されている。だが、同条約のもとでも、ワシントン条約登録以前に採取された象牙や、自然死した象から採取された象牙などについては商業取引が認められている。しかし、これらいわゆる「合法象牙」の中に、違法に密猟された「違法象牙」が混入しており、最近では象牙取引そのものが密猟の温床になっている見方が世界的に強まっている。国際環境NGO国際自然保護連合(IUCN)が開催する「世界自然保護会議」は2016年9月、象牙の国内取引の全面禁止を採択。翌10月に開催されたワシントン条約(CITES)締約国会議も、締約国に対し国内市場を閉鎖という内容を盛り込んだ勧告決議案を採択した。
今回の英国の措置は、IUCNやCITESでの議論を受けてもの。一部例外として、学期、象牙を僅かに含む商品、文化的造形物、美術館相互の取引の4つは今後も許可されるが、それ以外の取引は全面的に禁止される。同省は、12週間のパブリックコメント受付期間に、環境保護団体や芸術・骨董品の専門家とも協議し、例外項目の定義をさらに固め、法律の抜け穴を作らないようにする予定。
象牙取引の全面禁止は、世界二大取引大国の一つである中国が2017年末までに導入することを決めた。一方、二大大国のもう一つである日本は、政府登録を実施すれば取引が可能とする現行制度を継続する考えで、目下登録促進キャンペーンを展開している。
【参考】【中国】国務院、象牙の商業取引を2017年末までに全面禁止(2017年1月6日)
【参考】【日本】環境省、全形を保持した象牙商品の在庫把握キャンペーンを開始。所有者に登録呼びかけ(2017年9月11日)
【参照ページ】Government sets out plans for ivory ban
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら