環境分野で企業の情報開示を促す国際NGOのCDPは10月24日、「気候変動」「ウォーター(水)」「フォレスト(森林)」分野での2017年度Aリスト入り企業を公表しました。
【参考】CDPとは・意味(2016年2月20日)
CDPは、企業の対話を促すために機関投資家が発足させたNGO。機関投資家は「気候変動」「ウォーター(水)」「フォレスト(森林)」それぞれのプログラムに署名し活動を支援しており、気候変動では800機関以上、ウォーターでは600機関以上、フォレストでは400機関近くが署名をしています。
CDPが送付してくる質問書に回答することは、企業自身にとっても大きなメリットがあります。気候変動や水、森林の分野での自身のインパクトを測定することにより、現状を正しく認識することができます。また、CDPの質問書は規格化されていて認知度も高いため、自社のレベルと他社との比較も容易に行うことができます。もちろん、情報公開を行い高い評価を得ることで、機関投資家に大きなプラスの判断材料を提供することもできます。
2017年度調査での情報開示企業数は、「気候変動」が2,235、「ウォーター(水)」が764、「フォレスト(森林)」が211。最もメジャーな「気候変動」では日本企業の回答社数は281社、回答率は56%でした。「気候変動」のAリスト入り企業は、世界全体では昨年193社から今年は112社に激減。日本企業も22社から13社に減りました。減少した背景には、CDPが「A」と認定する閾値の引上げが影響しています。
Aリスト入りした日本企業
気候変動
世界112社。日本企業は13社。
- 住友林業(製造業)
- ソニー(製造業)
- トヨタ自動車(製造業)
- 小松製作所(製造業)
- ナブテスコ(製造業)
- 三菱電機(製造業)
- 富士通(IT・通信)
- リコー(IT・通信)
- コニカミノルタ(IT・通信)
- キリンホールディングス(食品・消費財)
- 川崎汽船(サービス)
- SOMPOホールディングス(金融)
- MS&ADインシュアランスグループホールディングス(金融)
ウォーター
世界73社。日本企業は12社。
- ブリヂストン(製造業)
- 富士フイルムホールディングス(製造業)
- 小松製作所(製造業)
- クボタ(製造業)
- 三菱ケミカルホールディングス(製造業)
- 三菱電機(製造業)
- 日産自動車(製造業)
- ソニー(製造業)
- トヨタ自動車(製造業)
- 富士通(IT・通信)
- キリンホールディングス(食品・消費財)
- サントリー食品インターナショナル(食品・消費財)
トヨタ自動車、ソニー、小松製作所、三菱電機、富士通、キリンホールディングスの6社は、気候変動とウォーターの双方でAリスト入りを果たしています。
フォレスト(木材)
世界5社。日本企業は0社。
フォレスト(パーム油)
世界2社。日本企業は0社。
フォレスト(畜牛)
世界1社。日本企業は0社。
フォレスト(大豆)
世界2社。日本企業は0社。
フォレスト4品目では、日本企業のAリスト入りゼロでした。世界で「フォレスト」4品目全てでAリスト入りを果たしたのはユニリーバで、「気候変動」「ウォーター」を合わせ6つ全てでA評価でした。次いでA評価が多かったのはロレアルで、「フォレスト」ではパーム油と大豆、また気候変動とウォーターと合わせ合計4種目でA評価を獲得しました。
CDP気候変動レポート2017の要点
(出所)CDP気候変動レポート2017
二酸化炭素排出量の削減目標設定では、89%の回答企業が設定、74%が対象排出量の80%をカバーする目標を設定するまでになりました。さらに科学的根拠に基づく削減目標設定(SBT)では、すでに認定済が4%、コミット中が10%、自発的宣言も14%にまで増えてきています。2年以内にSBTを設定する予定とした企業は30%もありました。
また、スコアリング手法が来年から変更されることがすでに予告されています。金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言をCDP質問書に組み込み、セクター別質問書が設けられます。セクター別質問書は2018年1月から3月に公表される予定です。
【参照ページ】From disclosure to action: how CDP’s A List is driving environmental leadership
【Aリスト】CDP A list 2017
【報告書】CDP気候変動レポート2017(日本版)
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