スウェーデンのESG投資推進企業GESは10月3日、チョコレートのサプライチェーンにおける児童労働撲滅に関するレポート「Combatting child labor -Investor expectations and corporate good practice」を発表した。同レポートは一般公開された上、チョコレート製造企業や業界のステークホルダーにも送付された。GESは1992年に設立され、今年で25周年を迎える。
同レポートは、2001年に「ハーキン・エンゲル議定書」が制定されて以降、業界での改善努力が認められるものの、西アフリカのコートジボワールやガーナのカカオ農園では依然として200万人以上の児童労働者がいると指摘している。ハーキン・エンゲル議定書は、米トム・ハーキン上院議員とエリオット・エンゲル下院議員が、奴隷として他国から連れてこられた児童がカカオ農園で強制的に働かされているという報道をきっかけにとりまとめた6つのアクションプラン。その中で両議員は2005年までのカカオ産業界が最悪な形態の児童労働と訣別する業界基準を策定することを求め、米国で法制化しようとしたが、下院での可決のあと、産業界が猛反発。廃案になりそうになったことで、市民社会からのボイコット運動などがあり、最終的にチョコレート産業界が自主的に署名をする替わりに、法制化をも送ることで合意された。
2010年にチョコレート産業界は「ハーキン・エンゲル議定書」を再確認し、2020年までに最悪の形態の児童労働を70%削減することをコミット。その後、フェアトレード認証、レインフォレスト・アライアンス認証、UTZ認証等が普及し、チョコレート産業界も様々な活動を展開している。2001年のときは徹底的に抵抗したチョコレート産業も、今は自ら進んで対策を進めるまでに状況は変わった。しかしまだまだ撲滅には程遠い現状なのは事実。
今回GESは同時に、投資家を巻き込んだ共同声明もまとめた。共同声明では、国際労働機関(ILO)が定義する児童労働を発見された場合には、投資家は企業に対して速やかに対策措置を講じることを期待すると言及。そのため、2020年までにガーナとコートジボワールの大半で児童労働を発見、改善する具体策について発表することと、2020年以降には両国の全ての地域で改善を実施することを計画することを要請した。また両国の農家の所得改善を実現し、インパクトを報告することも要請した。共同署名に署名したのは、スウェーデン公的年金AP1、AP2、AP3、AP4、スウェーデン教会、KLP、Mirova Responsible Investing、ストアブランド・アセット・マネジメント、ストラスクライド年金基金、モントリオール大学寄付基金、Walden Asset Management等60機関。
またGESと共同署名した機関投資家は、チョコレート世界大手7社についての現状を4点満点でまとめた。
(出所)GES (2017) COMBATTING CHILD LABOUR IN COCOA
【参照ページ】New report – Combatting child labour in cocoa
【レポート】COMBATTING CHILD LABOUR IN COCOA
【共同声明】INVESTOR STATEMENT IN SUPPORT OF THE REPORT
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