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【国際】国連地域間犯罪司法研究所、人口知能とロボットの脅威を予測・監視する拠点設立

国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)のCindy J. Smithディレクターは9月26日、第71回国連総会の場で、人工知能を監視し潜在的な脅威を予測するため「人工知能(AI)・ロボット・センター」をオランダ・ハーグに設立すると発表した。すでに今年初めにオランダ政府との間で合意書も締結されており、設立に向けた最終段階に入っている。

 人工知能がもたらす脅威については、今年8月にオーストラリア・メルボルンで開催された国際人工知能会議(IJCAI)で、「自律型ロボット兵器」の禁止を呼びかける公開書面にテスラのイーロン・マスクCEOを含む著名人116名が署名したことが話題を呼んだ。同書面では国連にも対処を求めていた。今回設立される「人工知能(AI)・ロボット・センター」は、犯罪組織や無法国家による自律型ロボット兵器の問題だけでなく、人口知能がもたらす大量失業リスクについても研究対象とする。

【参考】【国際】イーロン・マスクらAI専門家、自律型ロボット兵器の早期禁止を国連に求める公開書簡に署名(2017年9月3日)

 自律型ロボット兵器については、すでに米国、中国、ロシア、イスラエル等が開発に乗り出している。前述のIJCAIの公開書面では、「キラー・ロボット」と呼ばれる殺傷力の高い自立型兵器ロボットは火薬と核兵器に次ぐ「第3の革命」になると警鐘。キラー・ロボットが開発されると、武力紛争の規模や拡大速度が従来より遥かに大きくなり、罪なき人々に対する独裁者やテロリストによる恐怖の武器となり得るという。

 一方、雇用問題では、コンサルティングファーム大手PwCが今年7月に発表した報告書「UK Economic Outlook」によると、英国では1,000万人以上の定型業務の被雇用者が、今後15年以内にロボットに代替されるリスクがあるという。とりわけリスク高いとされたのが、上下水道・廃棄物管理、運送業、倉庫業、製造業、卸売・小売業、管理・支援業務、金融・保険、行政サービス・防衛、電力・ガス等。被雇用者の人数が多い卸売・小売業は225万人、製造業は120万人、管理・支援業務では110万人が失業する可能性が大きいと分析された。業務内容によっては、30%から50%の雇用がロボットやAIの普及により奪われるという。他方、ロボットやAIが普及することにより新たな雇用が生まれる可能性もある。PwCの技術・投資部門のリーダー、ジョン・アンドリューズ氏は、雇用者側が自らの従業員に新たな知識や技術に適応できるよう奨励することに加え、従業員側も積極的なスキルアップへの取り組みや、創造的な思考力を高めることが重要だと指摘している。

 国連地域犯罪司法研究所のIrakli Bridze上級戦略顧問は、「迅速に対応しなければ、社会情勢に不安定さを引き起こす可能性がある」「新しい技術を禁じたりコントロールするのではなく、どのように国連持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できるかを探ることが重要だ」と述べている。さらに同氏は、国連機関の中にはAIやロボットのプロジェクトを推進しているものもあるが、それらは一時的なものであり、ハーグの新拠点では集約的かつ継続的な取り組みを進め、ロボットやAIがもたらすリスクと利益との双方を研究するとも語った。

 国連地域間犯罪司法研究所は、当面、少人数のスタッフで運営する予定。活動内容は、リスクアセスメントとステークホルダーのマッピングおよび分析、トレーニングとメンタリング(助言)プログラムの実施、技術交流の促進、専門家会議の招集政策立案者の意識向上に向けたワークショップの開催、国際会議の開催等。

【参照ページ】Robots could destabilise world through war and unemployment, says UN
【参照ページ】Millions of UK workers at risk of being replaced by robots, study says
【参照ページ】UNICRI Center for Artificial Intelligence and Robotics
【参照ページ】'Killer robot' fears prompt tech leaders to call for UN ban on lethal autonomous weapons

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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