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【ヨーロッパ】欧州銀行連盟(EBF)、グリーンファイナンス推進や気候変動リスク対応の政策提言書発表

 EU加盟国を含む欧州32カ国の銀行協会が参加する欧州銀行連盟(EBF)は9月28日、グリーンファイナンス推進や気候変動対応のため銀行が果たすべき役割と政策提言をまとめた報告書「Towards a Green Finance Framework」を発表した。同報告書は、パリ協定で国際合意に達した2℃目標達成のため、低炭素社会や環境持続可能性向上に向けた内容となっている。EBFは、環境、社会、経済のトリプルボトムライン全ての推進を銀行の役割と位置づけており、社会的持続可能性に向けた分析も今後進める予定。

 EBFに加盟する32ヶ国の銀行協会に加盟する銀行は約3,500行。大銀行から中小銀行まで幅広く加盟している。融資総額は20兆ユーロを超え、毎日4億件以上の決済を支えている。EBFは1960年に設立され、本部はベルギー・ブリュッセルとドイツ・フランクフルトにある。

 今回の報告書では、まず欧州レベルでの政策調和として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿う情報開示義務や、グリーンボンドの欧州規模での定義、科学的状況が変化した場合のグリーン投資の定義、グリーン融資の推進イニシアチブ、グリーンプロジェクトの欧州基準制定等の分野で欧州規模でのルール作りを行うべきだとした。また官民連携を進めるため、銀行が政府が掲げる目標と歩調を合わせた事業運営を行うべきだする一方、政府に対しては、税控除やリスクシェア等で民間のグリーンファイナンスを後押しすべきだとした。中央銀行からの融資を受ける際の担保資産として、グリーンアセットを活用できるよう金融当局も検討すべきだとも言及した。とりわけ気候変動リスクについては、経済界に各地域が特定のリスク分類制度を確立させれば、銀行は気候変動リスクに対する融資ポリシーを作りやすくなるとまとめた。

 さらに金融規制当局に対しては、当局の監査や規制の中に環境リスクを明確に織り込むべきであり、さらに信用格付機関も信用リスク評価の中に環境リスクを織り込む一体化が必要だとした。とりわけ特定の気候変動シナリオを基にしたストレステストの実施が短中期的に最も有効な方策だろうと提案した。EUの自己資本要求規則(CRR)等が定めるグリーンアセットの自己資本規制上の扱いを変更することが銀行にとってグリーンアセット保有高を増加させる大きなインセンティブにもなるとの考えも伝えた。

 気候変動リスクがもたらす金融リスクが認識される中、EUやヨーロッパ全体での規制はまだ誕生していない。欧州各国がそれぞれ規制強化が検討される中、欧州の銀行業界が先手を取り、一丸となって欧州規模での政策調和や政策の道筋を示した形だ。

【参照ページ】EBF Report: Towards a Green Finance framework
【報告書】Towards a Green Finance Framework

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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