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【中国】政府、自動車メーカーに電気自動車生産割合を義務化。日本企業や欧米勢の命運は

 中国国務院工業情報化部は9月28日、新たな自動車燃費規制と電気自動車推進に関する法律「乗用車企業平均燃料消費量と新エネルギー車(NEV) クレジット並行管理法」を発表した。ガソリン車やディーゼル車を3万台以上を中国で生産または中国市場に輸入する自動車メーカーは、2019年以降、生産台数に占める電気自動車等新エネルギー車(NEV)の割合目標が義務化される。目標に達しなかった企業は、他社から「新エネルギー車クレジット」を購入するか、政府に罰金を支払わなければならなくなる。電気自動車にはハイブリッド車も含まれる。同法律は2018年4月1日に施行される。中国では「双積分政策」とも呼ばれている。

 割合目標の算出はやや複雑。プラグインハイブリッド車(PHV)は1台2点。電気自動車(EV)は航続距離に応じて、燃料電池自動車(FCV)は定格電力に応じて1台当たりの配点が決まる。この点数の総和を、それ以外のガソリン車・ディーゼル車の生産・輸入台数(1台1点)で割った値が、今回発表された割合目標となる。2019年は10%以上、2020年は12%以上。2021年以降の割合目標は工業情報化部が今後発表していく。不足している点数「新エネルギー車クレジット」は、政府が創設するクレジット取引市場で購入できるが、購入年度内に使用しなければならず、次年度への持ち越しはできない。また再販もできない。これによりクレジットが金融商品化するのを避ける考え。但し、2019年に不足クレジット分は、2020年の超過クレジットで相殺可能。

 電気自動車の生産・輸入割合を自動車メーカーに課す法規制は世界的にも珍しい。中国は、大気汚染や二酸化炭素排出量対策に本腰を入れてきており、今回非常に厳しい内容の法規制導入に踏み切った。中国の2016年の自動車販売台数は約2,360万台で、7年連続で自動車販売台数世界首位。それでも販売台数は毎年20%以上近く増加している。電気自動車に限定しても、2016年の世界販売台数が約200万台の中、中国が約65万台と世界トップ。今年8月だけでも、中国の電気自動車販売台数は前年同月比73%アップの53,000台に達し、成長率が非常に高い。米ゴールドマン・サックスは、2030年までに世界の電気自動車の60%は中国市場で販売されると予測している。

 一方、他の自動車大国では電気自動車シェアは伸び悩んでいる。自動車登録台数に占める電気自動車のシェアは、米国が0.9%、ドイツ0.7%。日本はそれよりさらに低い0.6%。欧州では比較的シェアが高く、ノルウェーで28.8%、オランダで6.4%、スウェーデンで3.4%、フランスで1.5%、英国で1.4%。英国とフランスは2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する政策を打ち出したが、中国市場の巨大な販売台数と比べると欧州での販売台数は遥かに及ばない。

 そのため巨大市場の中国が自動車メーカーの命運を分ける状態になってきている。すでに独フォルクスワーゲンや米フォード、米GMは中国での電気自動車製造合弁企業の設立を発表。ルノー日産グループも今年8月、中国自動車大手の東風汽車集団との合弁企業設立を発表したばかり。中国国産のBYD(比亜迪)やBAIC(北京汽車)のEV部門「北京新能源汽車」も販売台数を大きく伸ばしてきており、BYDはすでに中国国内での電気自動車販売台数で中国トップとなっている。

【参考】【中国】ルノー・日産、東風汽車と中国で電気自動車生産合弁会社設立。両者で折半出資(2017年9月20日)

 今回の法規制で販売シェア割合が課せられる対象メーカーは、法律原案ではガソリン車やディーゼル車5万台以上販売企業となっていたが、3万台に引下げられ、対象が拡大された。一方、昨年に発表された自動車業界独自の二酸化炭素排出権取引制度については今回は導入が見送られた。英フィナンシャル・タイムズ紙は、背景には海外自動車メーカーからの必死の延期要請の結果ではないかと見立てている。

 燃料電池自動車(FCV)に注力してきたトヨタ自動車も今年8月に、マツダと資本提携し、電気自動車分野に本格的に参入することを発表。しかし出遅れた感は否めない。来年から中国での電気自動車販売を予定しているホンダ自動車も、今回の規制強化に対応して行かなくてはならなくなる。

【法律】乘用车企业平均燃料消耗量与新能源汽车积分并行管理办法
【参考ページ】Rules set new targets for NEVs
【参考ページ】http://www.chinadaily.com.cn/business/motoring/2017-09/29/content_32626296.htm
【参考ページ】China delays auto carbon trading scheme

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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