SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)は10月2日、現在最終制定段階にあるSASBスタンダードの初版原案を公表した。12月31日まで90日間パブリックコメントを受け付ける。SASBはすでに暫定版を公開しているが、今回制定のものが正式なものとなる。初版は2018年第1四半期に発行される予定。
SASBの最大の特徴は、GRIスタンダードではマテリアリティ特定は情報開示企業の責務となっているが、SASBは業界共通のマテリアリティを株主視点で事前に固めてしまう点にある。そのため、SASBはスタンダード制定過程で、事業会社と投資家がチームとなり、全79業界のマテリアリティを特定してしまっている。今回制定作業中の初版は、暫定版で固めた内容をさらにブラッシュアップさせたものとなる。
SASBは、公的機関ではなく米国のNGO。だが、SASBスタンダードが定める開示項目を、米国の法定開示項目にすることを最大のミッションとして掲げており、すでにSEC(米証券取引委員会)とのコミュニケーションを行っている。SECが最終的にSASBスタンダードを採用するかは未知数だが、もしSASBの狙い通りとなれば、上場企業と大企業が報告を法的に義務付けられているForm 10-K(年次報告書)と、米国に上場している海外企業の法的報告書であるForm 20-F(海外企業の年次報告書)の中で、SASBスタンダードに基づく非財務情報の開示が義務付けられることになる。
SASBスタンダードの業界区分
ヘルスケア
- バイオテクノロジー
- 医薬品
- 医療機器等
- ヘルスケアデリバリー
- ヘルスケアディストリビューション
- 管理ケア
金融
- 商業銀行
- 投資銀行・ブローカー
- 運用会社・カストディアン
- 消費者金融
- 住宅ローン金融
- 証券取引所・商品取引所
- 保険
テクノロジー・コミュニケーション
- 電気工業・ODM
- ソフトウェア・ITサービス
- ハードウェア
- 半導体
- 通信
- インターネットメディア・サービス
非再生可能資源
- 石油・ガス(採掘・生産)
- 石油・ガス(中流)
- 石油・ガス(精製・マーケティング)
- 石油・ガス(サービス)
- 石炭
- 鉄・鉄鋼
- 非鉄金属・採掘
- 建設資材
輸送
- 自動車
- 自動車部品
- レンタカー・カーリース
- 飛行機
- 航空輸送・物流
- 海運
- 鉄道輸送
- 道路輸送
サービス
- 教育
- 専門サービス
- ホテル・ロッジ
- カジノ・ゲーム
- レストラン
- レジャー施設
- クルーズ客船
- 広告・マーケティング
- メディア
- ケーブル・衛星
資源加工
- 化学
- 宇宙・防衛
- 電気・電子製品
- 産業装置・工業部品
- 梱包・包装
消費財1
- 農作物
- 肉類・乳製品
- 加工食品
- 非アルコール飲料
- アルコール飲料
- たばこ
- 家庭用品・一般消費財
消費財2
- 量販店・専門店
- 食品小売・流通
- ドラッグストア・コンビニエンスストア
- Eコマース
- アパレル
- アクセサリー・靴
- 建材・家具
- 家電製造
- おもちゃ・スポーツ用品
再生可能資源
- バイオ燃料
- 太陽光エネルギー
- 風力エネルギー
- 燃料電池・工業用バッテリー
- 林業
- 紙・パルプ
インフラストラクチャー
- 電力
- ガス
- 水
- 廃棄物管理
- 建設サービス
- 住宅
- 不動産オーナー・開発・投資信託
- 不動産サービス
【参照ページ】The SASB Publishes Exposure Draft Standards for Comment
【参考】【レポーティング】SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)を徹底解説(2014年10月5日)
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら