国際労働機関(ILO)と国際人権NGOのWalk Free Foundation(WEF)は9月19日、世界全体の2016年の現代奴隷の数が4,000万人だったと発表した。またILOは同日、同年の5歳から17歳までの児童労働の数を1億5,200万人と発表した。
現代奴隷の防止に向けては、ILOが中心となって国際的なアライアンス「Alliance 8.7」が2016年9月21日に発足している。国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標8のターゲット7には現代奴隷を2025年までに撲滅することが掲げられており、「8.7」という名称が付けられた。この中で現代奴隷の定義は、強制労働と強制結婚の双方を合わせたもの。強制労働には、ヒューマントラフィッキングや家庭内や企業による強制労働、性産業での強制動労、軍、刑務所での労働搾取など政府が関与している(State-imposed forced labour)の3つに分けられる。
今回の発表の統計では、現代奴隷4,000万人のうち、強制労働2,500万人、強制結婚1,500万人。強制労働の数は2,500万人。そのうち1,600万人が家庭内労働、建設、農業等で従事。約500万人は性産業に従事、約400万人は軍、刑務所での労働搾取など政府が関与している。また、全体のうち女性が2,900万人と全体の71%を占め、ほとんどが性産業に強制労働として従事させられている。また、児童も1,000万人と全体の約25%を占めた。18歳未満で強制結婚をさせられた児童の数は570万人。そのうち44%は15歳未満で強制結婚させられていた。
ILOの国際条約上の定義では、児童労働には、放課後や休日に家業を手伝うことや日常的なお手伝いは含まれない。そうではなく、大人と同じような勤務状態にある児童が世界で1億5,200万人いる。そのうち8,800万人が少年、6,400万人が少女。この数は、世界全体の児童の約10%を占める。業種別では、農業が70.9%と最多。17.1%がサービス産業、11.9%が工業分野。一方、地域別では、アフリカに7,210万人、アジア太平洋に6,200万人、北米・南米に1,070万人、欧州・中央アジアに550万人、中東に120万人。児童労働の中でも、5歳から14歳と低年齢の児童のうち3分の1は学校に通えていない。また、5歳から14歳のうち38%、15歳から17歳のうち43%は、危険有害労働(hazardous work)に従事している。
(出所)ILO「Global Estimates of Child Labour 2012-2016」
それでも児童労働は2012年から比べると、実数、割合ともに減少してきている。児童労働従事数は2012年の1億6,800万人から2016年には1億5,200万人に減少。世界の児童全体に占める割合も10.6%から9.6%に減少した。危険有害労働従事数も2012年の8,500万人から7,300万人に減少している。しかし、2008年から2012年までの4年間に比べ減少スピードが3分の1にまで落ちてきており、ILOは大きな危機感を抱いている。
ILOが実施している現代奴隷の集計作業は、各国関係者へのインタビューや国際機関等が保有しているデータ等100以上のデータソースから統計的に推計値を算出。別の国連機関である国際移住機関(IOM)も協力した。
【参照ページ】40 million in modern slavery and 152 million in child labour around the world
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら