国連責任投資原則(PRI)とサステナビリティ分野の国際アドボカシーNGOのCeresは9月11日、世界中の機関投資家に対し、企業の森林伐採への関与を食い止める集団的エンゲージメント「Investor Initiative for Sustainable Forests」に参加するよう呼びかけを開始した。
同イニシアチブは、森林破壊と関連する労働人権侵害、土地所有権侵害、先住民への影響など幅広いESG課題を対象とする。イニシアチブ運営は、PRIとCeresが主導。ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団が資金提供し、世界自然保護基金(WWF)や持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)も協力する。
森林破壊にみられるサプライチェーン上のESG課題はますます注目を集めており、適切な対応を怠る企業は評判、規制、事業面でリスクを抱えるとともに、投資家からも投資リスクを指摘される可能性が出てきている。最近でも、食肉加工世界大手ブラジルのJBSが、違法に伐採した森林で肉牛を育成したこと等、様々なスキャンダルに見舞われ、2017年上半期に予定していたニューヨーク証券取引所での上場計画が一時凍結。株価下落や格付の引き下げにも至った。二酸化炭素を吸収する森林の破壊は、世界の二酸化炭素排出量を増加させてしまうため、機関投資家のリスク認識はますます高まってきている。
そのため、今回のイニシアチブも、企業が森林破壊に関するESG課題に適切に対処するよう、コモディティ商品の調達、加工、郵送などサプライチェーン上の情報を最新のツールやデータソースを用いて透明性の高い開示すること、最新のトレーサビリティや認証システムを活用すること、森林破壊や人権侵害を防止するための社内基準や方針等を整備することをなどを企業に要求していく。
PRIとCeresは、すでにパーム油について東南アジア等で同様の集団的エンゲージメントの取組を実施しており、今回のイニシアチブでは、対象を牛、大豆、木材、紙・パルプなど森林破壊の主要原因となっている商品作物に大規模に拡大した。活動は当面2年間展開され、まず1年後には進捗報告書を作成。2年後には活動の成果と次の展開をまとめた報告書を発表する予定。
【参照ページ】PRI and Ceres open collaborative engagement on deforestation to global investors
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