深刻化する西アフリカの森林破壊の主要因が、チョコレート産業のカカオ栽培にあることがわかった。英紙ガーディアンが9月13日報じた。現在、世界で生産されているカカオのおよそ約70%は、シエラレオネからカメルーンまでの地域で、約200万人の農家によって生産されている。とりわけコートジボワールとガーナは、世界第1位(174.1万トン)と第2位(89.7万トン)の生産地。コートジボワールでは、かつて国土の25%が熱帯雨林だったが、現在は4%未満にまで激減している。
ガーディアン紙の記者がコートジボワールのティア山にある国立熱帯雨林保護区を現地調査をしたところ、熱帯雨林はほぼ消失し、カカオの木以外は、ほぼ切り倒されていた。現地農家は、カカオ栽培のために熱帯雨林を「少しずつ焼いた」と語っており、典型的な無管理の焼畑栽培の状態。新たに焼畑をした地域がカカオ豆がよく育つと農家の間で信じられており、それにより次々熱帯雨林が焼かれていっているという。
国立保護区の年間森林消失率は近年倍増。コートジボワールとガーナの保護区外では消失は4倍にもなっている。チョコレート世界大手のマース、ネスレ、モンデリーズ・インターナショナル、ゴディバや、カーギル、バリーカレボー、オーラム等の食品流通企業も、コートジボワールでカカオ豆を調達している。企業らは、今年6月に共同声明を出し、森林破壊と森林劣化を終息させることを約束。今後、実効性のある具体的な取組内容が打てるかに注目が集まっている。フェアトレード豆の調達なども有効だが、フェアトレード認証が乱発されており、真にフェアトレードになっていないという批判もある。また、国立保護区を管理する州政府当局でも、賄賂の実態が報告されている。
ティア山の熱帯雨林破壊が深刻化したのは2004年。内戦により社会混乱が続く中、管理がなされなくなっていった。その他の地域でも、近年、破壊が拡大しているという。チョコレートによる森林破壊の調査報告書を発表した国際環境NGOマイティ・アースは、腐敗により当局による管理強化は期待できないため、食品企業や流通企業による原産地の透明性確保やトレーサビリティが重要だと指摘している。
2013年から2014年のチョコレート製品の消費量は、欧州が181.2万t、米国が77.5万t、中国が7万t。日本は中国の2倍以上の16.5万t。チョコレートはこれまで、現地労働者の人権等の問題指摘が多かったが、企業は環境破壊についても責任を求められてきている。
【参照ページ】Chocolate industry drives rainforest disaster in Ivory Coast
【報告書】Chocolates’ Dark Secret
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