8月後半に米国テキサス州を襲った超大型ハリケーン・ハービー。テキサス州は米国有数の陸上風力発電所が集積する地域であり、超大型ハリケーンに対する耐久性が試される場となったが、結果的に沿岸部の風力発電所は全て無事だった。
ハリケーン・ハービーは、中心気圧938hPa、最大風速58mの状態で、8月25日にテキサス州に上陸。米国でのハリケーンの分類上、2番目に強い「カテゴリー4」の勢力を誇った。「カテゴリー4」のハリケーンが米国に上陸したのは2004年のハリケーン・チャーリー以来13年ぶりで、さらに今年はその後に、ハリケーン・イルマという別の「カテゴリー4」ハリケーンも上陸。年に2回もカテゴリー4が上陸したのは米国観測史上初。
米国での風力発電所は、カテゴリー4より一段階弱いカテゴリー3に耐えられるように設計されている。しかし今回、カテゴリー4が直撃したが、沿岸部の全ての風力発電所が無事だった。テキサス州沿岸部には合計で2GWの風力発電所があるが、そのうちカテゴリー4級の風に見舞われたのは389MW分(シーメンスまたはヴェスタス製196基)と見られている。沿岸部の風力発電所は、台風接近時の強い風により一時は非常に高い稼働率を見せ発電量も増えたが、さらに接近すると安全装置が作動し活動を停止。さらに、地域の停電等で電力系統も不安定になり発電量が落ちたが、3日後にはほぼ全て通常運転に戻ったという。
一方、コロラド大学ボルダー校の研究によると、米国で検討が進められているさらに大型の洋上風力発電所は、カテゴリー5の台風には耐えられないという分析結果も出ている。カテゴリー5のハリケーンは、1924年から今日までに太平洋地域で33回発生している。米国でも、気候変動により、年々台風の勢力が増していると言われており、これにより発電所の脆弱性が増してきている。
【参照ページ】Texas Wind Farms Survive Hurricane Harvey
【参照ページ】Offshore wind turbines vulnerable to Category 5 hurricane gusts
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