国連責任投資原則(PRI)は9月5日、北京に中国オフィスを設立し、代表に在北京英国大使館の国際通商部でインフラ投資関連部門のトップを務めているナン・ルオ氏を任命した。ルオ氏は、PRIのグローバルネットワーク・アウトリーチ(GNO)チームの一員に加わり、GNO共同ディレクターのロレンツォ・サー氏がレポートラインとなる。10月9日に就任する。
ルオ氏は、気候変動、グリーンファイナンス、エネルギー分野での経歴が長く、在北京英国大使館では、中国資本を英国のエネルギーやインフラプロジェクトに呼び込む仕事をしていた。またそれ以前は、同じく英国大使館のエネルギー・気候変動部でグリーンファイナンス戦略や政策関連のプロジェクトに従事し、世界や中国の低炭素社会への移行を支援していた。さらにそれ以前には、上海にあるClimate Bridge社で、クリーン開発メカニズム(CDM)関連プロジェクトに2年間従事していた。
PRIは、英国に本部を置きつつ、米国、カナダ、ブラジル(中南米)、フランス(南欧)、ドイツ(西欧)、スウェーデン(北欧・中東欧・バルト海)、南アフリカ(アフリカ)、オーストラリア(オセアニア)、日本、香港(日本以外アジア)にオフィスを設置してきた。2015年までは、日本オフィスがアジア全域を管轄していたが、その後香港オフィスが開設され、日本以外を管轄することとなった。そして今回、香港オフィスから中国を管轄する北京オフィスが独立した。
ルオ氏は、中国オフィス代表として、中国の機関投資家に対し責任投資イニシアチブを促進し、PRIについての認知を高める活動を率いる。また、中国証券投資基金業協会や、中国人民銀行が設立した「グリーンファイナンス委員会(GCF)」といった中国国内機関との協業も行っていく。グリーンファイナンス委員会の議長には、今年9月まで中国人民銀行チーフエコノミストだった馬駿氏が2019年の任期満了まで引き続き議長を務めている。
中国は、馬駿氏が2014年4月に中国人民銀行のチーフエコノミストに就任後、今ではグリーンファイナンス分野で世界をリードするまでになった。PRIも、アジア地域での責任投資拡大のため3年間の戦略を策定しており、その中で中国は特に重要市場だと位置づけられている。PRIは、他にも韓国、マレーシア、シンガポールを重点市場と認識しており、ルオ氏は日本・中国以外を管轄する香港オフィスとも連携していく。
【参照ページ】PRI hires first-ever head of China
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