中国国務院国有資産監督管理委員会は8月28日、国営発電大手の中国国電集団と、国営石炭採掘・加工大手の神華集団を合併させたと発表した。統合後の企業資産は1.8兆人民元(約30兆円)。世界の発電業界の中で、売上世界第二位、発電設備容量世界最大の巨大な電力会社が誕生した。
企業合併プロセスは、神華集団公司を存続会社とし社名を「国家能源投資集団」に変更。この新会社が中国国電集団公司を吸収し、新たなホールディングス会社となった。中国国電集団と神華集団の傘下にあった上場子会社はホールディングス会社の下にぶら下がるかたちで位置づけられた。また、中国国電集団と神華集団は同時に、火力発電の新合弁会社を立ち上げる計画も発表した。中国国電集団が373.73億元の資産を、神華集団が292.74億元の資産を現物出資し、合計企業資産は666.47億元となる見込み。新合弁会社は、必要な行政手続、株主決議等を経て、設立される。
新会社の発電設備容量は225GWとなり、現在世界最大のフランス電力(137.5GW)、伊エネル(83GW)を抜いて、世界最大となる。中国政府が両社の合併を決めた背景には、中国で深刻化する石炭火力発電の過剰設備容量を削減したいという思惑があると見られている。まず、これまで石炭関連事業のみが扱えた神華集団は、今回の統合により、再生可能エネルギー分野にも進出できるようになる。中国政府は、石炭火力から再生可能エネルギーへのシフトを進めているため、これに合わせ神華集団も事業領域を石炭火力から再生可能エネルギーにシフトしていくことができる。また、中国国電集団にとっても、この統合により、神華集団から量および金額面で安定的に石炭供給が受けられるようになり、さらに神華集団が保有する鉄道網、港、船舶といったインフラ資産も活用できるようになる。
統合後の国家能源投資集団の発電設備容量と石炭採掘量(年間5億トン)はそれぞれ中国全体13%を、再生可能エネルギー発電設備容量では中国全体の23%を占めることになる。
中国の発電事業は、かつて国営の国家電力総公司が電力市場シェアの50%以上をとる体制だったが、2002年12月に発電、送電、補助事業の3つに分離されるともに、各事業についても地域ごとに分割された。そのうち発電事業については、今回話題の中心となった中国国電集団と、中国華能集団、中国大唐電力集団、中国華電集団、中国電力投資集団の合わせて5社が五大発電企業と言われてきた。これら5社は、いずれも国営企業だが、子会社を香港で上場させており、投資家から資金調達できるようになっている。中国政府はさらに、残りの4社についても、企業統合を検討していると噂されている。
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