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【日本】環境省、全形を保持した象牙商品の在庫把握キャンペーンを開始。所有者に登録呼びかけ

 環境省は8月29日、象牙の国内市場管理を強化するため、全形を保持した象牙の国内在庫の把握を目的とした「象牙在庫把握キャンペーン」を開始すると発表した。象牙取引については、アフリカで密猟が横行しており、アフリカゾウを保護するため、違法象牙の取締を強化する気運が高まっている。

 象牙商品の流通では、印鑑等として販売されている中国と日本が二大大国。象牙製品で使用される象牙は世界的にアフリカゾウのものが多く、高単価で取引されているアフリカゾウは密猟が絶えず、1989年に絶滅危惧種の国際取引を規制するワシントン条約に登録され、それ以降国際的な輸出入が原則禁止されている。だが、同条約のもとでも、ワシントン条約登録以前に採取された象牙や、自然死した象から採取された象牙などについては商業取引が認められている。

 しかし、合法象牙の流通ルートに密輸象牙が混入して流通することや、象牙取引に関与する密猟からの収入はテロ組織の資金源になっていることから、国際環境NGO国際自然保護連合(IUCN)が開催する「世界自然保護会議」は2016年9月、象牙の国内取引の全面禁止を採択。翌10月に開催されたワシントン条約(CITES)締約国会議も、締約国に対し国内市場を閉鎖という内容を盛り込んだ勧告決議案を採択した。中国政府も2016年12月、象牙の商業取引を全面禁止する規制を発し、2017年末までに中国国内での商業取引が一切禁止される。

【参照ページ】【中国】国務院、象牙の商業取引を2017年末までに全面禁止

 今回の環境省のキャンペーンでは、象牙の形そのもののまま商品化されている置物など象牙商品を対象とし、未登録の象牙商品について環境省への連絡を求めている。日本では、全形を保持した象牙商品を商業取引するには、種の保存法により政府登録が義務付けられており、違反すると個人に対しては5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が、法人に対しては1億円以下の罰金が課せられる。近親者への相続には法的な登録義務はない。しかし依然として未登録の象牙商品が出回っているため、売買を前提としていない所有者に対しても未登録象牙の登録を呼びかけることで、国内の象牙商品の在庫把握を行う考え。

 国際的には、全形を保持していない象牙の印鑑やアクセサリーに対しても、市場管理強化の動きが出ているが、日本の現行法では、全形を保持した象牙商品のみが政府登録義務の対象となっているため、今回のキャンペーンでも印鑑やアクセサリーは対象外。また、所有している象牙が本物か偽物かわからない場合は、保有者自身で確認してほしいとしている。

 同キャンペーンは、今年8月31日から2年程度実施される。

【参照ページ】象牙在庫把握キャンペーンの開始について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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