台湾の公的年金基金、労働部労働基金運用局は今年8月、検討を進めていた絶対収益型債券投資(Absolute Return Fixed Income)とパッシブ型グローバルESG株式投資(Global ESG Quality Mix Equity Indexation)の運用先を発表した。
労働部労働基金運用局は、台湾の年金制度のうち、被雇用者と自営業者が加入する年金制度「労工退休金」基金、被雇用者と自営業者が加入する基礎年金及び社会保険「労工保険」基金、非被用者向け基礎年金「国民年金保険」基金、雇用保険基金、労災保険基金等を運用しており、運用資産総額は約3.3兆台湾ドル。運用は、各基金毎に独立して行われている。同局は、昨年12月15日から今年1月16日の間、絶対収益型債券投資とパッシブ型グローバルESG株式投資の運用先の公募を実施していた。
絶対収益型債券投資での運用資産規模は約1,093億台湾ドル(36億米ドル)。運用委託先は、フィデリティ・インターナショナル、フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ、TCWグループの4社。各社が均等に9億米ドルずつを運用する。9億米ドルの各基金構成比率は、労工退休金基金が7億米ドル(新制度4億米ドル、旧制度3億米ドル)、労工保険基金と国民年金保険基金が1億米ドルずつ。
一方、パッシブ型グローバルESG株式投資の運用資産規模は、約730億台湾ドル(24億米ドル)。運用委託先は、ノーザン・トラスト、ステート・ストリート、ブラックロック、ドイチェ・アセット・マネジメントの4社。各社が均等に6億米ドルずつを運用する。6億米ドルの各基金構成比率は、労工退休金基金が4億米ドル(新制度2.5億米ドル、旧制度1.5億米ドル)、労工保険基金と国民年金保険基金が1億米ドルずつ。インデックスは、MSCIの「ACWI ESG ex Selected Sub-Industries Quality Mix E Series Capped Index」が採用された。同インデックスは、特定業種としてたばこ、アルコール、武器、ギャンブル、ポルノ産業の銘柄及び環境、人権、労働権、サプライチェーン、コーポレートガバナンスにおいて不正や不適切な運営を指摘されている企業を除外した上で、各業種の中でESGスコアが高い銘柄で構成されている「ベスト・イン・クラス(ポジティブ・スクリーニング)」型のESGインデックス。
労働部労働基金運用局がESGインデックスを用いたESG投資を開始するのは今回が初。台湾の公的年金がESG投資を開始することに対しては、国際的な注目が集まっており、香港に本社を置くアジア太平洋地域の投資運用雑誌「Asia Asset Management」は今年1月、同局を、アジア太平洋地域の「最優秀ESG運用賞」「最優秀スマートベータ戦略賞」「最優秀責任投資機関賞」として表彰していた。
【機関サイト】勞動部勞動基金運用局
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