金融業界の気候変動対応を促す国際イニシアチブ2° Investing Initiative(2°ii)は、スイスの年金基金と保険会社に対し、投資ポートフォリオの状態を、パリ協定で合意に至った2℃目標の観点から査定するプログラム「Climate Alignment Pilot Tests」が順調に進んでいると報告した。
同プログラムは、スイスの大規模機関投資家である年金基金と保険会社を対象に、株式と債券のポートフォリオの構成を、2℃目標の観点から査定するプログラム。参加は任意だが、スイス政府の財務省国際金融担当事務局と連邦環境・運輸・エネルギー・通信省連邦環境局がプログラムを支援しているため、参加する機関投資家が増えている。今日までに、スイスの年金基金と保険会社の運用資産総額の約3分の2を占める80社(総資産額2,900億スイスフラン)がプログラムに参加しているという。スイスでは、年金基金が分散しており、保険会社と合わせ1,500社があると言われているが、とりわけ大手を中心に参加が進んでいる。
同プログラムでは、機関投資家が、投資ポートフォリオの株式及び債券構成銘柄と投資額のデータを提供すると、2° Investing Initiativeが無料で、2℃目標への遵守度合いを査定してくれる。結果は、データを提出した機関投資家のみにフィードバックされる。また参加企業のデータ全体を用いた傾向は、スイス政府に分析レポートが提出され、スイス政府はそれをもとに金融機関の環境規制を検討してく予定。
同プログラムが、既存のポートフォリオのカーボンフットプリント測定と異なる点は、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインに基づき、2℃目標と照合したシナリオ分析を行い現状を査定する点にある。この手法ではすでに世界全体で機関投資家100社以上が分析を行っているが、そのうちスイスの年金基金と保険会社が80社を占めており、スイス政府が後押しする同プログラムの影響が非常に大きいことが伺える。
【プログラム】Climate Alignment Pilot Tests
【レポート】CLIMATE COMPATIBILITY ASSESSMENT SWISS PILOT TESTS 2017
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