ニュージーランド公的年金基金のニュージーランド・スーパーアニュエーション・ファンドは8月15日、運用資産総額350億NZドル(約3兆円)のうち約40%の140億NZドルを運用しているパッシブ型株式投資の全てを低炭素ファンドでの運用に切り替えると発表した。低炭素ファンドは、MSCI ESGリサーチが提供する企業の二酸化炭素排出量と低炭素格付に基づいて独自に設計するインデックスに基づき運用する。
パッシブ型株式投資を低炭素ファンドでの運用に切り替えたことで、9.5億NZドルが二酸化炭素排出量の多い企業から少ない企業へと移動された。これにより、以前と比較し、ポートフォリオからの二酸化炭素排出量を19.6%削減できた。また、投資先企業の炭素貯蔵量も21.5%削減できた。同ファンドは、これにより、座礁資産など気候変動投資リスクをより回避できる状態になったという。
ニュージーランド・スーパーアニュエーション・ファンドを管理する政府機関(Guardians of New Zealand Superannuation)は、気候変動リスクへのエクスポージャーを下げる戦略を決定している。同戦略では、2020年までにポートフォリオにおける二酸化炭素原単位排出量を20%以上削減し、炭素貯蔵量を40%削減することが盛り込まれている。
同ファンドのAdrian Orrチーフエグゼクティブは、今回の意思決定の背景について、「気候変動が長期投資家にとって重大なリスクとなるという見解は世界的な共通認識だ」とし、「世界を主導する投資家は気候変動リスクに対処するため投資ポートフォリオを調整し、低炭素経済への移行から生じる投資機会を捉えていく流れにある」と答えた。
一方、同ファンドは、二酸化炭素排出量や炭素貯蔵量の多い業種の企業については、MSCI ESGリサーチでの格付が相対的に良好で、気候変動対応に取り組もうとしている一部企業については、引き続き投資を継続する。これにより、排出量の多い業種についても、気候変動対応を促していく考え。
同ファンドは、今後、低炭素投資への移行を、アクティブ型株式投資にも拡大していくことを検討中。
【参照ページ】NZ SUPER FUND SHIFTS PASSIVE EQUITIES TO LOW-CARBON
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