米環境保護庁(EPA)は8月2日、大気浄化法(Clean Air Act)の下で、1970年から2016年の45年間で有害大気汚染物質6種類の排出量が73%削減されたとする報告書「Our Nation’s Air: Status and Trends Through 2016」を発表した。大気浄化法(Clean Air Act)は、オバマ前政権時代に強化され、同政権のエネルギー政策の金科玉条であった「クリーンパワープラン」の根拠法にもなっていた。トランプ現政権は、大気浄化法(Clean Air Act)は、過度な環境規制だと緩和する姿勢を示しており、その中で、大気浄化法の意義をEPAが改めて主張した意義は大きい。
同レポートは、大気浄化法が運用されてきた45年間に経済は3倍も成長したと、経済活動と環境保護は両立するという見解を見せた。6物質の削減量は、
- 鉛(3か月平均):99%削減
- 一酸化炭素(8時間平均):77%削減
- 二酸化硫黄(1時間平均):85%削減
- 二酸化窒素(年平均):56%削減
- 地上オゾン(8時間平均):22%削減
- PM10(24時間平均):39%削減
- PM2.5(24時間平均):44%削減
環境懐疑派のプルイットEPA長官は、今回のレポート発表に際し、「今回の成功にかかわらず、まだまだやることは多い」「米国市民の約40%は依然として国の大気基準に満たない地域に暮らしており、EPAは州、先住民族、地域の環境当局と協働し、より多くの地域で法令遵守を進めていかなければならない」とコメントしている。
プルイット氏がEPA長官に就任した際には、オバマ前政権時代の環境規制は全て撤廃するという勢いで、環境意識の高いEPA官僚からはトランプ政権に対する失望が生じていた。しかし、今回、大気浄化法の功績を称えるレポートを堂々と発表したことから、トランプ大統領やプルイット長官に抑えられていたEPA官僚が、巻き返してきた気配が伺える。
【参照ページ】Air Quality Continues to Improve, While U.S. Economy Continues to Grow
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