信用格付世界大手フィッチ・レーティングスは8月1日、アクティブ型グリーンボンドファンドがグリーンボンドの発行体が少ないことにより運用面で困難に陥るだろうという見解を示したレポートを発表した。ESG投資を求める機関投資家の増加により、グリーンボンドへの投資規模は2015年末から今日までに4倍にも増加しているが、依然としてグリーンボンドの発行体は、国際機関、公益事業者、自治体、一部企業のみに留まっている。このため、アクティブ型グリーンボンドファンドは、ベンチマークを上回る運用を行う難易度が高まっているという。
フィッチ・レーティングスは、アクティブ型グリーンボンドファンドの難易度が上がっている要素として、集中リスクとパッシブ型グリーンボンドファンドの勃興を挙げている。まず集中リスクについては、一般的な社債投資のユニバースが約3,000銘柄あるのに対し、グリーンボンド投資のユニバースは約100銘柄しかないと指摘。さらに、機関投資家のESG投資方針などのフィルターをかけると、投資対象銘柄はさらに絞られるという。そのため、ポートフォリオ分散によるリスク管理が行いづらく、安定的なリターンを出す難しさを抱えている。一部の投資家は、グリーンボンドとともに、環境適格性を満たす企業の他の社債を含めてポートフォリオを構成することで集中リスクをコントロールしているという。
続いて、パッシブ型グリーンボンドファンドの勃興では、仏運用リクソーがグリーンボンドETFを設定するなど、パッシブ型グリーンボンドが誕生してきており、市場規模が小さいグリーンボンド投資では、アクティブファンドが、パッシブ型とのポートフォリオ差別化を実現する難易度も高い。そのため、あパッシブファンドに押され、アクティブファンドが市場からの退場を迫られるリスクもあるという。
翌2018年は、2015年に大規模に発行されたグリーンボンドが過去3年のトラックレコードを更新するとも言われており、グリーンボンド市場にとって節目の年となる。
【レポート】Fitch Report
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