国連環境開発会議(UNCED)とは、1992年6月3日から14日にブラジルのリオデジャネイロで開催された環境と開発をテーマにした国連会議です。一般的に「地球サミット」の名でも知られています。当時のほぼ全ての国連加盟国172カ国の政府代表が参加し、そのうち116カ国は国家元首が参加。その他、NGO代表2,400人も参加するという一大イベントとなりました。
背景
国連は、1945年の設立以来、主な議題は戦争・平和や経済開発、人権でしたが、1970年代に入ってからは環境問題も大きなテーマとなりました。
- 1972年 国連人間環境会議(ストックホルム会議)
- 1982年 国連環境計画管理理事会特別会合(ナイロビ会議)
- 1992年 国連環境開発会議(リオ・サミット、地球サミット)
- 2002年 持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット、地球サミット2002)
- 2012年 国連持続可能な開発会議(Rio+20、地球サミット2012)
皮切りとなった1972年の国連人間環境会議では、環境に関する国連機関として、国連環境計画(UNEP)が発足。その後、10年毎に大きな環境会議が開催されています。1988年には、UNEPと世界気象機関(WMO)により気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設置されました。IPCCでは、温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の科学的、技術的、そして社会的、経済的な評価を行います。その第1次評価報告書が1990年に発行され、「科学的不確実性はあるものの、気候変動が生じる恐れは否定できない」ことが指摘されました。これを踏まえ開催されたのが1992年の国連環境開発会議でした。国連環境開発会議には、国家主席が多数参加した「地球サミット」になっただけでなく、今日まで続く大きな成果を残しました。
会議の成果
環境と開発に関するリオ宣言の採択
持続可能な開発に向け、地球規模のパートナーシップを構築することを目指したもの。リオ宣言は前文と27原則で構成されています。そして、このリオ宣言を具体的に実施するためのルールとして、以下の「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」「森林原則声明」「アジェンダ21」も採択されました。
気候変動枠組条約の採択
気候変動を抑制するため、大気中の二酸化炭素濃度を削減する国際的な枠組みを定めました。本会議中に日本を含む155ヶ国が署名。その後の京都議定書、そしてパリ協定という流れが形成されました。
生物多様性条約の署名
生物多様性の保全や生物多様性の構成要素の持続可能な利用、そして自然資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を目的とした生物多様性条約が国連環境開発会議の直前の合意文書採択会議で採択され、国連環境開発会議の会期中に日本を含む168カ国が署名しました。
森林原則声明の採択
森林分野の国際合意として初となる声明。森林の保護・育成を世界規模で協力することを目的としています。当初は、気候変動や生物多様性と同様、世界森林条約を採択させる予定でしたが、発展途上国の強い反対に合い、声明の形とすることで決着しました。
アジェンダ21の採択
リオ宣言に基づく持続可能な開発を実施するための自主的行動計画。各国政府が取るべき行動をまとめた4分野40項目が記されています。アジェンダ21は、その後、10年毎の地球サミットの中でも繰り返し確認され、現在でも各国の環境保護に向けた大きな政策コンセプトの柱となっています。また、アジェンダ21実施のために国連憲章第68条に基づき、「持続可能な開発委員会(CSD)」が設立されました。
参考ウェブサイト
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