シンガポール政府の内閣直下に設置されているR&D政策諮問機関「研究・イノベーション・企業会議(RIEC)」は7月21日、開催された第10回会合の中で、新たなエネルギーシステムの構築計画「グリッド2.0計画」を発表し、同分野に研究開発予算を多く割当てていくことを発表した。計画の中には、まだ世界で実現していない新たな技術分野が多く盛り込まれており、野心的な分野のR&Dに注目が集まっている。
対象となる研究開発予算は、シンガポール政府が昨年4月に制定した2016年から2020年までの「研究・イノベーション・企業2020年計画(RIE2020)」予算190億シンガポールドル(約1.5兆円)から拠出される。同予算は、シンガポールに技術開発及び雇用創出分野として、先進製造業・エンジニアリング、医療・生物医学、サービス・デジタル経済、都市ソリューション・サステナビリティの4つを定めている。今回の会合では、その中で、都市ソリューション・サステナビリティに着目し、同国のエネルギーシステムを再構築していくことを目指すことが明らかにされた。
「グリッド2.0計画」では、天然ガス、太陽光エネルギー、熱エネルギーを活用した発電、送電、蓄電、活用の手法を刷新し、効率的で持続可能で強靭なエネルギーシステムを目指す。同国は、パリ協定において、GDP1シンガポールドル当たりの二酸化炭素排出量を2030年までに2005年比で36%削減しなければならない。そのため同計画では、エネルギー源の研究開発に留まらず、空調等建物の省エネでも新技術開発を進めていく。
同計画で研究開発が進められる技術には、極めて低温の液化天然ガス(LNG)を建物や自動車等の冷却材として活用する「Cold Energy」技術や、天然ガスの燃焼エネルギー効率化につながる「液化酸素」なども含まれている。研究開発強化分野には、再生可能エネルギーも含まれている。リー・シェンロン首相は会合の中で、政府が定めた分野に企業も積極的に投資していくことを要請した。
RIE2020では、その他、先端製造業・エンジニアリング分野では3Dプリンティングや先端ロボット工学、医療・生物医学では糖尿病の遺伝性素因、サービス・デジタル経済分野では国家AIプログラム「AI.SG」などに取り組んでいく。
【参照ページ】New energy grid plan unveiled
【参照ページ】New grid system to manage energy use in S’pore
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