米インターネット関連企業が加盟するインターネット協会(IA)は7月10日、自由でオープンなインターネットを維持するためインターネットの中立性を訴えるウェブサイト「Net Neutrality Day of Action」を立ち上げた。同協会には、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、フェイスブック、ツイッター等が加盟、政策提言等を行っている。今回の訴えは、米連邦通信委員会(FCC)を対象としている。
今回のキャンペーンの背景には、2015年2月制定の法律で強化されたFCCの役割とネットの中立性を巡る一連の政治論争がある。同法制定以前は、AT&Tやベライゾンなどインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)は、1934年制定の電気通信法(Telecommunications Act)で「タイトルⅠ」と呼ばれる、比較的規制の緩い電気通信サービスに分類されていた。しかし、2015年2月の新ルールでは、「タイトルⅡ」に位置づけられ、ネット中立性を遵守する厳しい規制がかけられた。これにより、ISP自身が実施してきたインターネット・トラフィック管理が、独立した政府機関である連邦通信委員会により監督されることとなった。同時に、ISPが、ウェブサイトの優先表示権を有料販売したり、特定のウェブサイトの表示を禁止したり、特定のウェブサイトだけに帯域制限をかけたりすることが禁じられた。この改定により、ウェブサイトの価値を判断するのはISPではなくユーザーだという姿勢が明確にされたことを、インターネット協会の加盟企業は強く支持。一方で、制約をかけられたISP側は反発し、ISPとインターネット・サービス企業との間で対立が生じていた。
今回インターネット協会がFCCに強くインターネット中立性を訴えている理由は、現トランプ政権が2015年ルールを撤回しISPの分類を再度「タイトルⅠ」に逆戻りさせることを検討しているためだ。トランプ大統領が指名したアジット・パイ連邦通信委員会委員長は、「緩やかなルール」で問題がないと逆戻りを強く支持し、委員会の投票でも2対1で賛同を得ている。
再びISPが主導権を握った場合、同委員会の役割はどのようなものになるのか、またインターネット中立性とはそもそも何で、誰がどのように中立性を担保すべきなのか、についての改めて議論を呼びそうだ。
【参照ページ】Internet Association Calls For Enforceable Net Neutrality Rules On Day Of Action
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