国連責任投資原則(PRI)は7月13日、プライベートエクイティ投資のGP(プライベート・エクイティ投資運用会社)とLP(機関投資家)の双方向けのESG投資ガイダンス「Incorporating responsible investment requirements into private equity fund terms」を発表した。背景には、機関投資家のESG投資需要の高まりを受け、昨今ではプライベートエクイティ投資分野でも運用会社はESG投資の実践が要望されていることがある。
今回発表のガイダンスは、PRIによるプライベートエクイティ投資向けのEG投資に関するガイダンス三部作の第二弾にあたる。第一弾となった「Limited Partners’ Responsible Investment Due Diligence Questionnaire(LP Responsible Investment DDQ)」は2015年11月に発表され、LP向けにプライベートエクイティ投資におけるESGデューデリジェンスの標準チェックリスト(全21項目)を発表した。GPにも参照が推奨されている。この第1弾ガイダンスでは、LP、GP、ファンド・オブ・ファンズ(FoFs)から41社がワーキンググループメンバーとして参加。国際的なプライベートエクイティ業界団体であるILPA(Institutional Limited Partners Association)の他、世界各地域のプライベートエクイティ業界団体である米American Investment Council(AIC)、欧州Invest Europe、英BVCA、仏AFIC、豪AVCAL、新興国EMPEAも協力した。
第2弾となった今回のガイダンスは、ファンドのタームシート(LPとGPが交わす条件規定書)の中で記述すべきESG投資条項に焦点を当てた。同ガイダンスは、GPに対し、まずESG投資方針を定めた上で、ファンドの目論見書(Private Placement Memorandum)の中でESGに関する規定を示していくべきだとした。一方、LPに対しては、LPA(投資有限責任事業組合契約)もしくはサイドレター(契約書以外の書面で交わす追加条件)の形で、合意文書の草案段階から内容にESG関連条項を盛り込むべきだとした。LPAとサイドレターのそれぞれの利点では、LPAの方がファンドの投資全般に対するESG実践を強制させることには向いている一方、LPがGPに対して行うESG関連情報開示等LPの個別性が高い内容については、柔軟なサイドレターのほうが好ましいだろうと説明した。
また、LPAやサイドレターに盛り込みべきESG規定については、大きく「ESG方針やESG基準、特定のESG規制への準拠へのコミットメント」「投資制限、投資除外、抗弁権」「投資意思決定プロセス」「ESG報告」の4つがあるとした。同ガイダンスの中では、それぞれ4つについて具体的な解説を行っている。
今回発表の第2弾ガイダンスでは、PRI署名機関であるプライベートエクイティ投資運用会社のAPG、HgCapital、bcIMC、FMO、Idinvest、SWEN Capital Partnersがワーキンググループとして参画。また、第1弾と同様に業界団体のILPA、Invest Europe、EMPEAの他、米American Investment Council(AIC)、中南米LAVCAも協力した。
三部作の第三弾は、プライベートエクイティ・ファンドの運用期間を通じたESGモニタリング・ESG報告のガイダンスとなる。すでに、環境・社会・労働安全衛生リスクマネジメントコンサルティングのERMが作成を進めており、今年9月のイベント「PRI-PEI Responsible Investment Forum 2017」の中で草案がお披露目される予定。
【参考】【国際】PRI、プライベート・エクイティ向けのESG投資ガイダンス作成プロジェクトを開始(2017年5月31日)
【参照ページ】PRI rolls out private equity fund terms guide
【ガイダンス】第1弾「Limited Partners’ Responsible Investment Due Diligence Questionnaire」
【ガイダンス】第1弾「Limited Partners’ Responsible Investment Due Diligence Questionnaire」の付属ガイダンス書
【ガイダンス】第2弾「Incorporating responsible investment requirements into private equity fund terms」
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