香港税関は7月6日、マレーシアから到着した貨物船のコンテナの中から過去30年間で最大規模となる密輸象牙7.2tを押収したと発表した。時価総額900万ドル(約10億円)相当。
象牙商品の流通では、印鑑等として販売されている中国と日本が二大大国。象牙製品で使用される象牙は世界的にアフリカゾウのものが多く、高単価で取引されているアフリカゾウは密猟が絶えず、1989年に絶滅危惧種の国際取引を規制するワシントン条約に登録され、それ以降国際的な輸出入が原則禁止されている。しかし、同条約のもとでも、ワシントン条約登録以前に採取された象牙や、自然死した象から採取された象牙などについては商業取引が認められている。
しかし、合法象牙の流通ルートに密輸象牙が混入して流通することや、象牙取引に関与する密猟からの収入はテロ組織の資金源になっていることから、国際環境NGO国際自然保護連合(IUCN)が開催する「世界自然保護会議」は2016年9月、象牙の国内取引の全面禁止を採択。翌10月に開催されたワシントン条約(CITES)締約国会議も、締約国に対し国内市場を閉鎖という内容を盛り込んだ勧告決議案を採択した。
その中で、中国国務院も昨年12月、象牙の商業取引を全面禁止する規制を発し、2017年末までに中国国内での商業取引が一切禁止となる。一方、自治区である香港ではある程度の規制があるものの、象牙製品の商業取引はまだ合法であり、全面禁止になるのは5年先。2014年から2015年にかけて,香港からEU圏へ輸出された象牙商品は1,572個から10,671個まで増えており、規制の緩い香港が「密輸象牙取引の中継地」として機能している。
今回、香港で大規模押収が実現したことは、密輸象牙が香港を経由していることの証左ともなった。香港でも象牙取引の禁止機運が高まってきそうだ。
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