国際協力機構(JICA)は7月10日、今年2月から3月にかけ公募したSDGsビジネス助成制度「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」の第1回採択案件5件を発表した。同助成制度は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するビジネスを計画している企業に対し、調査費用の一部をJICAが助成するというもの。助成費用は、1件あたり5,000万円が上限。具体的な助成金額は、申請者からの提案書等を通じて決定される。
JICAは2010年から、日本企業によるBOPビジネス(貧困層が抱える課題の解決に貢献するビジネス)支援を目的とした「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」を実施。これまで100件以上の案件を採択してきた。今年からは新たに、SDGsビジネス支援を目的とした「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」を開始した。
採択案件の選抜では、SDGs達成に向けた貢献度、事業化の可能性、調査実施体制の3点で評価がなされた。SDGs達成に向けた貢献度では、JICAの既存事業(円借款、技協等)との連携可能性の有無も考慮された。JICAは当初の予定では10件を採択する予定だったが、最終的には予定数の半分の5件しか採択されなかった。SDGsビジネス調査助成制度では、SDGsに対する理解や事業化可能性が、厳しい目でチェックされたことが伺える。
今回採択された5件は、
- 有限会社臼井農畜産:ベトナムで焼畑農業によるキャッサバ栽培の代替として、女竹(メダケ)の生産・流通システムを構築
- 株式会社ボーダレス・ジャパン:ミャンマーで小規模農家を対象にハーブ・雑穀の無農薬栽培・販売と適正価格による生活必需品の巡回販売を展開
- 株式会社ユーグレナ:ブータンで小規模農家を対象にキヌア栽培・収穫後処理の技術指導とキヌアの栄養価に関する食育、キヌア輸出のバリューチェーン確立を実施
- コニカミノルタ株式会社・株式会社miup:バングラデシュでモバイル医療機器等とICT、機械学習・AIを組み合わせた遠隔診断型の安価な健診サービスを貧困層向けに展開
- 株式会社モンスター・ラボ:ヨルダンとパレスチナ自治区で若年難民を対象としたソフトウェア開発人材の雇用・育成とIT開発アウトソーシングを実施
JICAは、7月24日にJICA国際会議場で、今回採択した案件の紹介と制度説明のための説明会を開催する。
【参照ページ】第1回「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」で5件の採択を決定~シリア難民支援など、多様な途上国の課題解決へ向けて~
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